豊前海

豊前海（ぶぜんかい）

豊前海は、福岡県東部沿岸から大分県北部沿岸にかけて広がる周防灘の南部海域の俗称です。豊前国の北東部沿岸海域に位置し、周防灘ではなく関門海峡や響灘となる豊前国北西部の沿岸海域は含まれません。

地理的特徴

豊前海沿岸は遠浅の海岸であり、潮の干満の差が大きいため、広大な干潟が発達しています。この干潟は、有明海、八代海とともに「日本三大干潟」の一つに数えられることもあります。干潟は多様な生物の生息地となり、豊かな生態系を育んでいます。

豊前海は植物プランクトンの発生量が多く、クルマエビ、ガザミ、シャコ、コチなどの好漁場としても知られています。しかし、麻痺性貝毒原因プランクトンの発生も確認されており、漁獲物の安全性には注意が必要です。

産業

豊前海では、漁業が盛んに行われています。福岡県側では、カキ（行橋市）や海苔（豊前市、吉富町）の養殖が盛んであり、行橋市および築上町はアサリの産地として知られています。これらの海産物は、「豊前海一粒かき」や「豊前のり」としてブランド化され、市場に出荷されています。

自然

豊前海沿岸には、貴重な自然が残されています。北九州市小倉南区の曽根干潟は、多くの野鳥が飛来することで知られており、干潟は野鳥の重要な生息地となっています。また、大分県側の中津市、宇佐市、豊後高田市を中心とする海岸には、中津干潟、和間海岸などの干潟があり、絶滅が危惧されるカブトガニや、アオギス、日本在来種のハマグリなどの希少な生物が生息しています。

豊前海は、豊かな漁場であると同時に、貴重な自然が残された海域です。しかし、近年は環境の変化や開発の影響も受けており、保全の重要性が高まっています。

関連項目

東九州
瀬戸内海
周防灘
伊予灘
別府湾
豊後水道
関門海峡
京都平野
中津平野
宇佐平野

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