象山神社

象山神社

象山神社（ぞうざんじんじゃ）は、長野県長野市松代町に位置する神社です。この神社は、幕末の松代藩士であり、卓越した思想家であった佐久間象山（さくましょうざん）を祀るために創建されました。神社は、佐久間象山の旧邸宅跡に建てられており、境内には彼にゆかりのある歴史的な建造物が移築されています。これらの建造物や庭園は、その文化的価値から国の登録有形文化財や登録記念物として指定されており、歴史と文化に触れることができる場所となっています。

概要

象山神社の創建は、1913年（大正2年）に開催された象山殉難五十年祭がきっかけです。この祭典を機に、地元松代町出身で大審院長を務めた横田秀雄を中心に、神社建立の計画が具体化しました。そして1938年（昭和13年）、ついに象山神社が創建されました。神社の社地は、かつて佐久間象山が住んでいた邸宅の跡地であり、境内には象山にゆかりのある建物が松代町内や京都から移築されています。これらの建物は、象山の思想や生活を偲ぶ上で重要な手がかりとなっています。

佐久間象山の名前の読み方については、一般的には「しょうざん」と読まれることが多いですが、地元長野県では「ぞうざん」と呼び慣わされています。神社の名称もこの慣習に従い、「ぞうざんじんじゃ」と読むのが正しいとされています。

歴史

象山神社の歴史は、佐久間象山の没後から始まりました。

1913年（大正2年）：象山殉難五十年祭が執り行われ、神社建立への機運が高まります。同年、佐久間象山の旧宅跡が埴科郡松代町（当時）に寄付されました。
1931年（昭和6年）：神社創立の許可が下りました。
1938年（昭和13年）11月3日：象山神社が正式に創建されました。
1960年（昭和35年）2月11日：佐久間象山の旧宅跡が長野県指定史跡に指定されました。
1964年（昭和39年）11月11日：象山の思想を記した「省諐録」の碑が建立されました。
1973年（昭和48年）11月9日：象山が詠んだ漢詩「望岳賦」の碑が東京都杉並区から移築されました。
1976年（昭和51年）4月11日：「桜賦」の碑が建立されました。
1978年（昭和53年）：高義亭が松代町内から移築されました。この建物は、かつて松代藩の家老の屋敷にあったもので、象山が蟄居していた場所としても知られています。
1979年（昭和54年）3月12日：高義亭が長野市指定有形文化財に指定されました。
1981年（昭和56年）：煙雨亭が京都市中京区から移築されました。この建物は、象山が暗殺されるまでの2ヶ月間を過ごした茶室で、彼の生活を垣間見ることができます。
2005年（平成17年）12月26日：本殿、宝殿、拝殿・祝詞殿、斎館、社務所、絵馬殿が国の登録有形文化財に登録されました。これにより、神社の主要な建造物が文化財としての価値を認められました。
2008年（平成20年）7月28日：境内の園池が国の登録記念物に登録されました。この庭園は、美しい景観を保っており、訪れる人々に安らぎを与えています。
2010年（平成22年）9月26日：翌年の佐久間象山先生生誕二百年大祭に先立ち、佐久間象山の銅像が建立されました。
2018年（平成30年）11月25日：幕末に活躍した松代藩主・真田幸貫と、志士・英傑（小林虎三郎、吉田松陰、勝海舟、坂本龍馬、橋本左内）の銅像除幕式が行われました。これにより、幕末の歴史をより深く感じられる場所となりました。

境内

象山神社の境内には、数多くの歴史的建造物や碑石があります。

本殿：国の登録有形文化財に指定されています。
宝殿：同じく国の登録有形文化財です。
拝殿・祝詞殿：こちらも国の登録有形文化財に指定されています。
斎館：国の登録有形文化財の一つです。
絵馬殿：国の登録有形文化財です。
高義亭：松代藩家老の屋敷にあった別棟で、佐久間象山が蟄居していた場所です。長野市指定有形文化財。
煙雨亭：象山が暗殺されるまでの2ヶ月間を過ごした茶室。京都市中京区から移築されました。ここからは東山や八坂の塔が見え、雨に煙る景色を象山が愛でたと言われています。
佐久間象山宅跡：当時のものは井戸のみ残っています。「象山先生誕生地」の碑が建てられています。長野県指定史跡。
碑石：望岳賦、桜賦、省諐録の碑が建立されています。
庭園・心の池：国の登録記念物に指定されています。
佐久間象山銅像：佐久間象山先生生誕二百年大祭に先立ち建立されました。田畑功の作品。
横田秀雄顕彰碑：神社の創建に尽力した横田秀雄を顕彰する碑です。
社務所：国の登録有形文化財です。

交通

象山神社へのアクセスは以下の通りです。

公共交通機関：JR・長野電鉄長野駅からアルピコ交通（川中島バス）30・48系統に乗車し、「松代八十二銀行前」下車。
公共交通機関：JR・しなの鉄道篠ノ井駅からアルピコ交通（川中島バス）130系統に乗車し、「紺屋町」下車。
自動車：上信越自動車道長野ICから車で5分。

周辺施設

象山神社の周辺には、以下の観光スポットがあります。

象山記念館：佐久間象山に関する資料を展示する施設。
文武学校：旧松代藩の藩校。
旧真田邸：松代藩主真田家の邸宅。
真田宝物館：真田家ゆかりの宝物を展示する施設。
恵明寺：歴史ある寺院。
松代大本営跡：太平洋戦争末期に建設された地下壕。

脚注

象山神社公式サイト

関連項目

佐久間象山
象山記念館
横田秀雄
松代象山地下壕

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