越乃Shu*Kura

越乃ShuKura（こしのシュクラ）

「越乃ShuKura」は、東日本旅客鉄道（JR東日本）新潟支社が主に上越妙高駅を発着駅として運行する、日本酒と新潟県の豊かな風土をテーマにした観光快速列車の愛称、およびそれに用いられる専用車両の名称です。愛称の「Shu」は日本酒、「Kura」は酒蔵を意味し、新潟県が誇る多くの酒蔵と連携し、車内で地酒を堪能できることが最大の特徴です。ShuとKuraの間にある「」（アスタリスク）には、雪、米、花という、新潟県の主要な恵みが象徴的に込められています。

この列車は、新潟県で2014年春に開催されたデスティネーションキャンペーン「うまさぎっしり新潟」の一環として企画されました。古くから「地酒王国」として知られる新潟の魅力を「酒」というテーマで表現するため、誕生しました。キャッチフレーズである「水と大地の贈り物」は、日本酒だけでなく、四季折々の多彩な食材に恵まれた新潟の豊かな自然をアピールしています。

「越乃ShuKura」には、基本となる上越妙高駅 - 十日町駅間を運行するルートのほか、同一車両を使用して運行される派生列車として、上越妙高駅 - 越後湯沢駅間を結ぶ「ゆざわShuKura」、そして上越妙高駅 - 新潟駅間を走る「柳都ShuKura」があります。「柳都」とは、かつて堀端に柳並木が続いていた新潟市の異称に由来しています。

運行は主に3月から11月にかけて、金曜日、土曜日、休日を中心に1日1往復行われます。冬季（12月から3月上旬）は運休となります。

使用車両と車内サービス

使用される車両は、専用に改造されたキハ40形・48形気動車の3両編成です。新潟の風土を表現した藍下黒と雪の白を組み合わせた車体色は、落ち着いた雰囲気を醸し出しています。車窓からの眺めを楽しめるよう、大型の窓が採用されています。

全席普通車指定席となっており、1号車と3号車が客席車両です。1号車は「びゅう旅行商品」専用車両で、グループ向けのボックスシートや、日本海側を向いた展望ペアシートなどが配置されています。3号車は一般発売用の車両で、回転リクライニングシートが並び、車両前方には展望を楽しめるソファ付きのフリースペースもあります。

中間車両である2号車は「蔵守 - Kuramori - 」と呼ばれるイベントスペースとサービスカウンターです。ここではジャズやクラシックの生演奏、地元酒蔵によるイベントなどが開催されます。サービスカウンターでは、常時5種類の地酒の利き酒ができるほか、新潟県産の食材を使った弁当やつまみ、土産品などを販売しています。かつて使用されていた「呑みくらべクーポン」は廃止され、現在は現金や交通系ICカードなどで購入可能です。

乗車時にはアテンダントによる地酒の振る舞いサービスが行われます（飲酒できない乗客を除く）。1号車の乗客には、旅行商品の一部として、新潟県産の食材を使ったオリジナルメニュー「水と大地の贈り物」が提供されます。往路では朝食イメージの「Echigo-Breakfast」、復路では酒のつまみを主体とした「Echigo-Kurameshi」が用意されます。また、地酒のセットや記念品、利き酒に使えるクーポン（現在廃止）なども含まれていました。

停車駅では、酒樽をイメージした装飾駅名標が設置されているほか、季節ごとのイベントが開催されることもあります。運行経路上の青海川駅では、美しい日本海の景色をゆっくりと眺められるよう、比較的長い停車時間が設けられています。

地域連携と臨時運行

「ShuKura」の各列車は、北陸新幹線（2015年3月開業）と上越新幹線からの観光二次交通手段としても位置付けられています。北陸新幹線の延伸に伴い、発着駅が高田駅から上越妙高駅に変更されました。

また、JR東日本が沿線で運営する信濃川発電所の不正取水問題を受け、地域振興策の一環としてもこの列車が運行されています。さらに、飯山線を走る「おいこっと」や北越急行の「ゆめぞら」といった他の観光列車との連携による周遊ルート提案も行われています。

通常の運行ルートのほか、専用車両は新潟県内を中心に、様々な臨時列車としても運行実績があります。「ちば乃ShuKura」（千葉 - 館山）、「浪漫ShuKura」（新潟近郊循環）、「あおもりShukura」（青森 - 大湊）など、地域やイベントに合わせて多彩な区間を走行しており、その柔軟な運用も特徴の一つと言えます。これは、JR東日本管内の他の地域で新潟の魅力を発信する機会ともなっています。近年では、各地の鉄道イベントや地域観光キャンペーンに合わせて、様々な区間での臨時運行が行われています。

この列車は、単なる移動手段としてだけでなく、乗車そのものが新潟の日本酒文化や豊かな自然を体験できる特別な時間となるよう企画されており、多くの鉄道ファンや観光客に親しまれています。

沿革の要点

2014年5月2日：快速「越乃ShuKura」運行開始（高田 - 十日町）。
2014年5月9日：快速「ゆざわShuKura」運行開始（高田 - 越後湯沢）。
2014年9月12日：快速「柳都ShuKura」運行開始（高田 - 新潟）。
2015年3月14日：北陸新幹線開業に伴い、運行区間を上越妙高駅まで延伸。
2020年：新型コロナウイルス感染拡大により一時運休。
* 以降、各地で様々な臨時列車としての運行実績を重ねる。


この列車は、新潟の「水と大地の贈り物」である日本酒を核に、地域の魅力を発信する観光列車として、多くの乗客に特別な体験を提供し続けています。

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