おいこっと

観光列車「おいこっと」

「おいこっと」は、JR東日本が長野駅と十日町駅間を北しなの線・飯山線経由で運行する臨時快速列車であり、その専用車両の愛称でもあります。この列車は、単なる移動手段ではなく、乗車すること自体が旅の目的となる「のってたのしい列車」に分類されます。

概要

「おいこっと」は、JR東日本長野支社が「古民家」をモチーフに導入した観光型車両です。特筆すべきは、観光列車でありながら定期列車としても運用されるという珍しい特徴を持っている点です。

列車名の「おいこっと」は、東京のローマ字表記「TOKYO」を逆から読んだもので、都会の喧騒とは対照的な「ふるさと」の風景を乗客に感じてほしいという願いが込められています。ロゴマークには雪ん子をイメージした可愛らしいキャラクターが描かれ、「いいかわ、いいそら、いいやません。」というキャッチコピーが添えられています。

運行概況

主に土休日や多客期に、長野駅と十日町駅の間を1往復しています。冬季には運休期間がありますが、かつては「冬のおいこっと」として長野駅から戸狩野沢温泉駅の間を運行し、一部日程では十日町駅まで延長運転する「雪のおいこっと」として運行されていました。現在では、特定日や冬季に「雪のおいこっと」として運行されるのみとなっています。

停車駅

長野駅 - 替佐駅 - 飯山駅 - 北飯山駅 - 戸狩野沢温泉駅 - 上境駅 - 森宮野原駅 - 津南駅 - 十日町駅

「雪のおいこっと」や、かつて運行されていた「冬のおいこっと」も同様の停車駅です。

使用車両

使用されている車両は、元々は特急「秋田リレー号」として活躍していたキハ110系300番台を改造したものです。2両の車両（キハ110-235・236）は、200番台へ編入される際に、飯山線の景色を楽しめるよう座席の向きを一部変更し、「眺望車“ふるさと”」と名付けられました。

外観は、アイボリーとえんじ色をベースに、藁葺き屋根の民家を連想させるラッピングが施されています。特徴的なのは、運転台や出入り口付近の配色が車両ごとに逆になっている点です。側面には、唱歌「故郷」に登場する「兎」などがアイコン化されて描かれ、室内にはそれらをモチーフにした照明が設置されています。さらに、特急時代から残る蛍光灯カバーにも装飾が加えられています。

車内は、「ふるさと」をテーマにしたソファタイプのロングシートや、障子をイメージしたロールカーテンなどが採用され、温かみのある空間が演出されています。各座席には収納式のテーブルが備え付けられており、トイレも車いす対応の洋式に改修されています。

「おいこっと」として運行されない日には、通常の普通列車としても使用されるため、つり革や優先席、整理券発行機などのワンマン運転関連機器はそのまま残されています。車両の検査は1両ずつ行われるため、検査による運休は発生しません。

沿革

2014年
7月18日：飯山線への観光列車導入を発表。
12月4日：観光列車の愛称が「おいこっと」に決定。
12月23日：運行開始前に飯山駅で車両展示会を開催。
2015年
1月2日：定期普通列車としての運行を開始。
4月4日：臨時快速列車「おいこっと」としての運行を開始。
2017年
5月27日：飯山市内の避難指示により、戸狩野沢温泉駅 - 森宮野原駅間が長期不通となり、6月25日まで運休。
7月1日：運転再開。
2020年
4月8日：新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、5月31日まで運休（ただし、飯山線定期普通列車としての運用は継続）。
7月23日：運転再開。感染防止のため、当面の間、車内や駅でのイベントは見合わせ。
2021年
10月23日：豊野駅 - 飯山駅（旧飯山鉄道）の開業100周年を記念し、「飯山豊野100周年号」を運行。
2022年
10月1日：トンネル工事の影響により、戸狩野沢温泉駅 - 森宮野原駅間が長期不通となり、11月20日まで運休（ただし、飯山線定期普通列車としての運用は継続）。

その他

「おいこっと」は、沿線の美しい景色や、地元の人々との触れ合いを楽しめる、魅力的な観光列車です。旅の思い出作りに、ぜひ利用してみてはいかがでしょうか。

関連情報

*越乃ShuKura*：十日町駅まで運行する観光列車。
JR東日本信濃川発電所の不正取水問題：関連するニュース

外部リンク

* のってたのしい列車ポータル おいこっと - 東日本旅客鉄道

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