越沢明

越澤明（こしざわ あきら）

プロフィール

越澤明氏は、1952年生まれの日本の工学者、都市計画家、都市政策学者です。北海道大学名誉教授であり、一般財団法人住宅保証支援機構の元理事長を務めました。工学博士の学位を持ち、都市計画、都市政策、公共政策を専門としています。国土交通省の社会資本整備審議会では、住宅宅地分科会、都市計画・歴史的風土分科会、歴史的風土部会の会長を歴任しました。人文・社会科学分野でも評価される著書や業績を多数持ち、全国の地方自治体で都市政策やまちづくりに関する指導や助言を行ってきました。

学歴と職歴

1971年：東京教育大学附属高等学校（現・筑波大学附属高等学校）卒業
1976年：東京大学工学部都市工学科卒業
1978年：東京大学大学院工学系研究科修士課程修了
1982年：東京大学大学院工学系研究科博士課程修了、工学博士授与（博士論文名：満州の都市計画に関する歴史的研究）
1982年～1994年：神奈川県庁勤務
1994年～1998年：長岡造形大学助教授
1998年～2014年：北海道大学大学院工学研究院教授
2014年：北海道大学名誉教授の称号授与
2014年～2018年：一般財団法人住宅生産振興財団顧問
2016年：東京経済大学客員教授
2016年～2019年：一般財団法人住宅保証支援機構理事長

専門分野

越澤氏の専門分野は、都市政策、都市計画、公共政策です。都市計画法、都市再生特別措置法、都市公園法、古都保存法、明日香法、景観法、歴史まちづくり法、高齢者住まい法など、都市や住宅に関する法制度に精通しており、都市計画、まちづくり、文化財の行政実務にも明るいです。特に、東京の都市計画研究、震災・大火・津波・戦災などの災害後の復興計画研究、東京オリンピック関連都市計画の第一人者として知られています。1989年には、後藤新平の帝都復興計画の原図を発見したことでも有名です。

研究業績

越澤氏の著書の多くは、新書や文庫で刊行されており、多数の学術賞を受賞しています。日本の旧植民地・占領地（台湾、満洲、中国本土、朝鮮半島）ならびに現代中国の都市研究の先駆者としても知られています。主な著書は、韓国、中国、台湾で翻訳出版されており、中国や台湾で招待講演を行い、称号を授与されています。

受賞歴

1977年：アジア経済研究所 発展途上国研究奨励賞（最年少受賞）
1988年：日本都市計画学会賞 論文奨励賞
1990年：土木学会賞 著作賞
1992年：日本都市計画学会賞 石川賞（大賞に相当、最年少受賞）
1992年：第1回日本不動産学会賞 著作賞
1992年：日本造園修景協会 下山奨励賞
2003年：環境情報科学センター 特別賞
2006年：日本都市学会賞（奥井記念賞）
2013年：都市住宅学会賞 著作賞
2013年：鎌倉市 市政功労者 表彰
2016年：第6回不動産協会賞
2016年：守山市 感謝状

海外表彰

2002年：中国 長春市人民政府より都市計画顧問の称号授与
2012年：中国 大連理工大学建築與藝術学院客座教授
2014年：中国 長春市人民政府より栄誉市民の称号授与
2014年：中国 清華大学公共管理学院産業発展與環境治理研究中心（CIDEG）栄誉専家
2016年：中国 清華大学公共管理学院産業発展與環境治理研究中心（CIDEG）研究員

政府公職歴

越澤氏は、長年にわたり国や自治体の審議会で委員を務めています。

2001年～2011年：国土交通省 社会資本整備審議会委員
2008年～2011年：社会資本整備審議会住宅宅地分科会長
2009年～2011年：社会資本整備審議会都市計画・歴史的風土分科会長
2005年～2009年：社会資本整備審議会都市計画・歴史的風土分科会長代理
2005年～2010年：社会資本整備審議会都市計画・歴史的風土分科会歴史的風土部会長
2011年～2014年：国土交通省 社会資本整備審議会臨時委員
2003年～2006年：内閣府 中央防災会議専門委員
2004年～：国土交通省京浜河川工事事務所 鶴見川流域水委員会委員
2014年～：原子力損害賠償・廃炉等支援機構運営委員会賠償・復興分科会専門委員
2017年：内閣官房 明治期の立憲政治の確立等に貢献した先人の業績等を次世代に遺す取組に関する検討会委員

これらの委員会では、都市再生特別措置法、景観法、都市緑地法、歴史まちづくり法、高齢者住まい法、長期優良住宅法などの制定、住生活基本法の住生活基本計画（全国計画）改定、まちづくり交付金制度創設、古都指定、明日香村整備計画、国営公園の整備、首都直下地震対策の検討などに大きな役割を果たしました。

自治体・法人等公職歴

越澤氏は、多くの自治体や法人でも公職を歴任しています。

一般財団法人民間都市開発推進機構都市研究センター研究アドバイザー
一般社団法人日本公園緑地協会研究顧問
財団法人都市計画協会理事
財団法人区画整理促進機構評議員
東京都江戸東京博物館運営委員会委員
鎌倉市緑政審議会会長職務代理
犬山市歴史まちづくり協議会会長
美濃市歴史まちづくり協議会会長
守山市政策アドバイザー
長浜市歴史まちづくり協議会アドバイザー
東京都復興計画検討委員会委員・幹事・作業部会員
品川区まちづくりマスタープラン策定委員会委員長
台東区震災復興小学校の校舎及び用地の有効活用に関する検討委員会委員長
札幌市住まいの協議会会長
函館市緑の基本計画策定委員会委員長
函館市観光基本計画アドバイザー
東川町美しい東川の風景を守り育てる審議会会長
美しい愛知づくり基本計画検討委員会副委員長
三重県美しいまちづくり懇談会会長
名古屋市緑の審議会都市計画公園緑地事業推進部会長
各務原市都市政策アドバイザー
各務原市都市計画マスタープラン策定委員会委員長
木曽川景観協議会アドバイザー
守山市大庄屋諏訪屋敷保存整備活用委員会会長
大津市都市計画審議会景観形成専門委員会委員長
富田林駅南地区市民協働プログラム策定委員会委員長
兵庫県広域緑地計画策定委員会幹事長
福岡市緑の基本計画策定委員会委員
別府市駅東地区市街地総合再生基本計画策定委員会委員長
[松竹] 歌舞伎座再生検討委員会委員

主な著書

『植民地満州の都市計画』（アジア経済研究所, 1978年）
『東京の都市計画』（岩波新書, 1991年）
『東京都市計画物語』（日本経済評論社,1991年、ちくま学芸文庫, 2001年）
『満洲国の首都計画』（日本経済評論社,1988年、ちくま学芸文庫, 2002年）
『哈爾浜の都市計画』（総和社,1988年、ちくま学芸文庫, 2004年）
『復興計画 - 幕末・明治の大火から阪神・淡路大震災』（中公新書, 2005年）
『後藤新平 - 大震災と帝都復興』（ちくま新書、2011年）
『大災害と復旧・復興計画 』（岩波書店、2012年）
『東京都市計画の遺産 - 防災・復興・オリンピック』（ちくま新書、2014年）
『日本都市計画史　上巻 - 都市計画法・建築法制定百年記念論集』（住宅生産振興財団、2017年）

共著

『地域研究シリーズ No.3 第3巻 中国—経済 』（アジア経済研究所,1992年）
『岩波講座 近代日本と植民地 第3巻 植民地化と産業化』（岩波書店, 1993年）
『札幌の緑づくり』（札幌市環境局みどりの推進部,2001年）
『都市をつくった巨匠たち シティプランナーの横顔』（ぎょうせい, 2004年）
『まちづくり行政を語る』（都市計画協会, 2005年）
『近代都市計画制度90年記念論集』（都市計画協会, 2014年）
『後藤新平生誕150周年記念 第17回「都市問題」公開講座 経世家・後藤新平―その生涯と業績を語る』（東京市政調査会,2007年）
『巨大地震 権威16人の警告』（文春新書、2011年）
『新国立競技場、何が問題か』（平凡社、2014年）
『山本繁太郎とその時代』（政策史検証実行委員会、2015年）

主な著書の翻訳

『“東京の都市計画”のハングル表記』（韓国経済新聞社, 1991年）
『“中国の都市計画 満洲の都市論”のハングル表記』（泰林出版社, 2006年）
『中国東北都市計画史』（大佳出版社, 1991年）
『偽満洲国首都規劃』（社会科学文献出版社、2011年）
『哈爾浜的城市規劃（1898-1945）』（哈爾浜出版社、2014年）

主な出演

2008年6月：NHK総合 『その時歴史が動いた』第327回「人を衛(まも)る都市をめざして ～後藤新平・帝都復興の時～」
2011年4月：BSフジ 『プライムニュース』「復興検討チームが始動 歴史の教訓を生かせ！ 直嶋民主副代表に問う」
2011年5月：テレビ東京 『田勢康弘の週刊ニュース新書』「どう描く?復興ニッポンの青写真」
2011年6月：NHKラジオ第1 『ラジオあさいちばん』「被災地へのメッセージ」
2011年9月：NHK総合 『おはよう日本』「震災半年～阿部キャスター現地リポート～」（VTR出演）
2014年9月：NHKBSプレミアム 『英雄たちの選択』「関東大震災　後藤新平・不屈の復興プロジェクト」

主な報道

越澤氏の活動や研究は、新聞、雑誌、テレビなど多くのメディアで報道されています。特に、後藤新平の帝都復興計画原図発見に関する報道や、震災復興に関する提言などが注目を集めました。

東日本大震災復興に関する言及

東日本大震災の復興に関しても、数多くの提言やコメントを発表しています。特に、復旧と復興の違いを明確にし、迅速な復旧こそが真の復興につながると主張しています。

主な講演

越澤氏は、都市計画やまちづくりに関する多くの講演を行っています。国内外の様々なフォーラムやシンポジウムで、都市計画や復興計画に関する知見を共有し、政策提言を行っています。

主な解説

安彦良和の漫画『虹色のトロツキー』では、満州国の首都・新京の都市計画とその思想について解説をしています。

参考文献・出典

越澤氏の研究や活動は、多くの学術論文や書籍で引用・参照されています。都市計画や復興計画に関する研究において、重要な参考文献として活用されています。

外部リンク

越澤明（越沢明）と都市計画、歴史まちづくり法、景観法、住まい
越澤 明 著書・論文のリスト ＜国立国会図書館サーチ＞キーワード 越澤 明
国土交通省 社会資本整備審議会

越澤明氏は、都市計画、都市政策、公共政策の分野で多大な貢献をしてきた人物です。その知見は、現代の都市計画やまちづくりにおいても重要な指針となっています。

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