趙羾

趙羾（ちょう こう、1364年 - 1436年）は、明代に活躍した官僚であり、字を雲翰と称しました。彼の出身地は解州夏県であり、後に祥符県へと移住しています。

1387年（洪武20年）、趙羾は挙人として選ばれ、太学に入学しました。1390年（洪武23年）には、その才能を見込まれて兵部職方司主事に任じられました。彼は、天下の要害や防御に適した場所を図示し、それに基づいて駐屯すべき場所を進言するなど、卓越した能力を発揮しました。この功績により、洪武帝からも高く評価され、1395年（洪武28年）には武庫員外郎に昇進しました。建文帝の時代初めには、浙江参政に転じ、海賊討伐の策を立て、その功績を上げました。

1404年（永楽2年）、趙羾はベトナムの胡朝への使節として派遣され、帰国後にはその報告を永楽帝に行いました。この功績により刑部右侍郎に抜擢され、その後、工部右侍郎、さらに礼部右侍郎へと昇進を重ねました。1407年（永楽5年）6月には、遂に礼部尚書にまで昇りつめました。1410年（永楽7年）には、永楽帝に同行し、行在刑部を兼任しました。しかし、1411年（永楽9年）秋、朝鮮からの使臣が帰国する際に、趙羾が通常の賞賜を奏上しなかったことから永楽帝の怒りを買い、一時的に投獄されるという事件も起こりました。その後、彼は釈放され、保安・隆慶・永寧の諸州県の建設を監督し、民衆を呼び集めて生活を安定させることに尽力しました。1417年（永楽15年）には、母親の死去に伴い一時的に職を辞して喪に服しましたが、同年11月には官に復帰し、兵部尚書として塞外の軍事を専門に管轄しました。1422年（永楽20年）には、永楽帝の漠北遠征において、軍糧の補給輸送を統括する重要な役割を担いました。

1424年（永楽22年）8月、洪熙帝が即位すると、趙羾は南京刑部尚書に転任しました。1430年（宣徳5年）、御史の張楷によって、趙羾と侍郎の兪士吉が職務怠慢と放縦であると弾劾されました。このため、趙羾は北京に召還され、致仕を命じられました。

1436年（正統元年）7月戊申、趙羾は73歳でその生涯を閉じました。彼の著書には、『傖父集』3巻があります。

趙羾は、明代において兵部、礼部といった要職を歴任し、永楽帝の信任を得て活躍した官僚です。彼の才能は、軍事、外交、地方行政など多岐にわたり、その多才ぶりを発揮しました。しかし、晩年は弾劾を受けて失意のうちに生涯を終えたという側面も持ち合わせています。彼の人生は、明代の官僚社会の一つの縮図を示すものと言えるでしょう。

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