足利義助

足利義助（あしかが よしすけ）

足利義助は、戦国時代から安土桃山時代にかけて活躍した武将であり、平島公方の二代目当主です。室町幕府第14代将軍である足利義栄の弟として生まれ、激動の時代を阿波の地で過ごしました。

生涯

天文10年（1541年）、平島公方・足利義維の次男として阿波国平島で誕生しました。兄である義栄が将軍となるために畿内へ渡海した際、義助も父と共にこれに従い、摂津の越水城に入城しました。

しかし、永禄11年（1568年）に兄・義栄が病死すると、義助は父と共に阿波へと帰還しました。天正元年（1573年）には父・義維の死を受けて平島公位を継承しましたが、当時、後ろ盾であった阿波三好氏の勢力も衰退しており、阿波での不遇な日々が続きました。

天正4年（1576年）には、阿波三好氏の当主である三好長治が細川真之に滅ぼされ、翌年からは土佐の長宗我部元親が阿波への侵攻を開始しました。このような状況下で、義助は長宗我部氏から阿波への出兵と所領の安堵を伝えられます。これは、長宗我部氏が阿波における足利将軍家の家格を利用し、自らの勢力拡大を正当化する目的があったと考えられます。

天正10年（1582年）には織田信長が死去し、四国への圧力が弱まると、長宗我部元親と阿波の十河存保との間で中富川の戦いが勃発しました。義助は元親から馬を贈られるなど、両者の間には友好関係が築かれていました。また、元親は細川昭元とも関係を構築し、阿波や讃岐への進出の際に、足利家の権威を大義名分として利用しました。

天正13年（1585年）には、義助を尊重していた長宗我部元親が豊臣秀吉の四国征伐によって敗れ、土佐一国を領有するのみとなります。その後の論功行賞によって、阿波は蜂須賀家政に与えられました。蜂須賀氏の阿波入国に伴い、義助は所領を没収され、わずか100石の「茶料」を与えられるのみとなりました。さらに、徳島市富田町に屋敷を構え、蜂須賀氏との交渉を行うことになります。平島公方の権威は、長宗我部氏などには尊重されましたが、豊臣政権下で国持大名となった蜂須賀氏にとっては、その権威は自身の統治を妨げるものでしかなかったのです。

天正20年（1592年）7月25日、義助は平島で生涯を終えました。享年52。

系譜

父：足利義維
妻：柳沢主膳正（大内氏家臣）娘
男子：足利義種
生母不明の子女
男子：足利義遠

脚注

出典：『系図纂要』
太田亮『姓氏家系大事典　第3巻』

参考文献

榎原雅治; 清水克行 編『室町幕府将軍列伝』戎光祥出版、2017年。
若松和三郎『戦国三好氏と篠原長房』戒光祥出版〈中世武士選書17〉、2013年。

関連項目

畿内・近国の戦国時代
* 平島公方

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