軍部大臣現役武官制は、日本の歴史における特異な政治制度であり、
1900年から
1913年、
1936年から
1945年まで実施されていました。この制度では、日本の
軍部大臣(陸軍
大臣・海軍
大臣)の就任資格が
現役の
大将・
中将に限定されることが定められました。
この制度が導入された背景には、当時の日本における政党政治の台頭と
軍部の影響力の強化がありました。特に、
1900年の山縣内閣による制度の導入は、議会が持つ軍事費削減要求に対する反発を象徴しています。従来の制度では、
文官が
軍部大臣に就任することも可能でしたが、
軍部大臣現役武官制の導入により、
組閣には
軍部の合意が欠かせなくなったのです。この結果、
内閣総理大臣は「同輩内の主席」としての役割にとどまり、
軍部の意向に従わざるを得なかったのです。
制度の運用と影響
現役武官制が実施されると、内閣が
軍部と対立する際、
軍部大臣を辞職させることができ、その結果、内閣が総辞職に追い込まれる事例も見られました。このようにして、
軍部は自らの政治的要求を通すための強力な道具を手に入れ、政治において重要な役割を果たすこととなりました。
大正政変に見られるように、
1913年から
1936年までは
軍部大臣の補任資格が拡大され、
予備役や後備役の将官も対象となりましたが、
1936年には再び
現役武官制が復活することになります。
1936年、二・二六事件を受けて、
軍部大臣現役武官制が復活しました。その目的は、
予備役に属する
退役軍人を
軍部大臣にすることを防ぐためでした。以降、戦局の深化とともに軍が政治的に強い影響を持つようになる中で、内閣と
軍部の関係はますます緊張を増していくことになります。
制度の終焉
1945年の敗戦に伴い、
軍部大臣現役武官制は終焉を迎えました。日本はポツダム宣言を受諾し、
陸軍省と
海軍省は廃止され、
軍部大臣も消滅しました。
1947年施行の
日本国憲法では、陸海空軍その他の戦力を保持しないことが明記され、
文民が国務
大臣でなければならないとされています。このように、
軍部大臣現役武官制は日本の戦前の政治において重要な役割を果たしましたが、戦後は
文民統制に基づく新たな体制に移行することとなります。
まとめ
軍部大臣現役武官制は、日本の
軍部と
文官の関係を大きく変えた制度です。この制度は、軍が政治的な力を持ち、内閣に影響を及ぼす道具として機能しました。戦後、日本は
文民統制に基づく新たな体制を築くこととなり、これにより軍が持つ力の制約が強まりました。歴史的に見て、
軍部大臣現役武官制は日本の近代史において無視できない事象であり、その影響は今日まで語り継がれています。