辛国神社

辛国神社（からくにじんじゃ）

辛国神社は、大阪府藤井寺市藤井寺に位置する神社です。古くは式内社として知られ、現在は村社となっています。

祭神

主殿には以下の神々が祀られています。

饒速日命（ニギハヤヒノミコト）
天児屋根命（アメノコヤネノミコト）
素盞鳴命（スサノオノミコト）

相殿には以下の神々が祀られています。

市杵島姫命（イチキシマヒメノミコト）
品陀別命（ホンダワケノミコト）

歴史

社名の「辛国」は、かつてこの地を治めていた物部氏の一族、辛国連に由来します。辛国連は、役小角の弟子である呪術者、韓国広足を輩出した家系です。神社の創建時期は明確ではありませんが、『日本書紀』に雄略天皇13年（469年頃）に物部氏が領地を賜ったという記述があり、この頃に物部氏が祖神である饒速日命を祀ったのが始まりと考えられています。

『日本三代実録』には、貞観9年（867年）に官社に列せられたという記録があり、『延喜式神名帳』では官幣小社に列せられています。当時は恵美坂の西南に位置していたようです。

中世に入ると、河内守護の畠山基国が社領200石を寄進し、社殿を現在の場所に移築しました。この際、奈良の春日大社から天児屋根命を合祀したため、近世にかけて「春日社」と呼ばれるようになりました。『大乗院寺社雑事記』には、長禄2年（1458年）に神主職が興福寺から補任され、神主が岡村庄の検断権を持っていたという記述があります。

明治時代に入り、現在の「辛国神社」に改称されました。1872年（明治5年）に村社に列せられ、1907年（明治40年）には野中村の野中神社、翌年には葛井寺内の長野神社を合祀しました。これによって、長野神社の祭神であった素盞鳴命も合祀されることになりました。なお、野中神社は1950年（昭和25年）に野中宮山古墳の後円部頂上に復社されています。

境内

境内に入ると、緑豊かな長い参道が続きます。この参道は、1989年（平成元年）に「大阪みどりの百選」に選ばれています。参道には、合祀された長野神社から移設された鳥居が残っています。

境内には、本殿、拝殿のほか、春日天満宮（祭神：菅原道真）、春日稲荷神社（祭神：宇迦之御魂大神）、社務所、伊勢神宮遥拝所などがあります。

祭事

辛国神社では、年間を通じて様々な祭事が行われます。

歳旦祭（1月1日）
節分祭（節分の日）
春日稲荷祭（春分の日）
水無月の大祓式（6月30日）
夏祭（7月17日）
御例祭（10月17日）
月次祭（毎月1日）

現地情報

所在地：大阪府藤井寺市藤井寺1-19-14
交通アクセス：近鉄南大阪線藤井寺駅下車後、徒歩約8分

周辺情報

辛国神社の周辺には、高屋神社があります。高屋神社は、羽曳野市にある式内社で、辛国神社と同じく饒速日命を祀っており、物部氏の一族である高屋連の本貫地であったとされています。

外部リンク

辛國神社 - 大阪府神社庁
辛國神社 公式ホームページ

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