大友能直

大友 能直について

大友 能直（おおとも よしなお）は、鎌倉時代初期に名を馳せた武将であり、大友氏の初代当主です。彼の家系は近藤氏に由来し、父は近藤能成、母は波多野経家の三女である利根局です。また、養父に中原親能を持つことから、彼は中原能直とも名乗ることがありました。

出自と名前の変遷

能直は相模国愛甲郡古庄で生まれ、初めは古庄能直と名乗りましたが、その後、父と同じく近藤能直と称します。母の実家である波多野経家の領地、相模国足柄上郡大友郷を継いだことにより、大友能直と名乗るようになりました。多くの武士が関与する家系で、彼の叔父である武藤頼平や従兄弟の近藤国平も名将でした。

人生のサイクル

大友能直は文治4年（1188年）に17歳で元服し、同年の10月14日に源頼朝から内々に推挙されて左近将監に任じられました。彼は病を抱えつつも、相模の大友郷にて療養し、12月17日には初めて大倉御所に出仕し、頼朝の前で任官の礼を受けます。『吾妻鏡』によれば、能直は頼朝の「無双の寵仁」と称されており、特に彼を大切に思っていたようです。

翌年、能直は奥州合戦に従軍し、頼朝の近習としても活躍しました。建久4年（1193年）には、曾我兄弟の仇討ちが発生し、頼朝が襲撃を受けた際、能直は彼を守るために身を挺して立ちふさがりました。

その後、建久7年（1196年）には豊前・豊後両国の守護に任命され、6月には豊後国速見郡浜脇浦へ下向しました。承元元年（1207年）頃には筑後国の守護も務めましたが、頻繁に都と鎌倉を往復していたことから、実際には現地に留まることは少なかったと推測されています。

最終的には、貞応2年（1223年）11月27日に所有地を妻子に譲って京都で死去しました。享年は53歳でした。

頼朝落胤説

興味深いことに、能直の母である利根局は源頼朝の妾であったと言われており、このことが大友氏の名声を高める一因とされています。そのため、能直を頼朝の落胤とする説も存在します。特に、一部の系図では彼を頼朝の庶子として位置づけています。

とはいえ、これを裏付ける資料は乏しく、同時代の文献や『吾妻鏡』といった資料にはそのような関係は記載されていません。鎌倉時代後期にはこの説が薄れていたとも指摘され、頼朝落胤説自体の信憑性に疑問が呈されています。

系譜とその影響

大友能直の後、大友氏は豊後国大野荘を中心に勢力を拡大し、守護としての立場を強固にしました。彼の八男である志賀能郷は、元寇の際に九州に移住し、九州での勢力を強化。室町時代に入ると、豊後、豊前、筑後国に力を及ぼし、後の19代大友義長やその子義鑑は戦国大名となります。

さらに21代大友義鎮の時代には、大友氏の支配域は肥前、肥後、筑前国にまで広がり、大友氏はその全盛期を迎えました。彼の業績はただの武将にとどまらず、大友氏の歴史に多大な影響を与えました。

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