述律皇后

淳欽述律皇后（じゅんきんじゅつりつこうごう）

淳欽述律皇后は、遼（契丹）の太祖耶律阿保機の皇后であり、遼の初期を支えた重要な人物です。彼女の生涯は、政治的な手腕と軍事的な才能に満ち溢れていました。本記事では、彼女の生涯と業績について詳しく解説します。

生い立ちと即位

淳欽述律皇后、諱は平、小字は月里朶。回鶻の糯思の玄孫娘として、契丹右大部に生まれました。太祖耶律阿保機が907年に即位し天皇帝を称すると、彼女は地皇后の尊号を受けました。916年には、阿保機が大聖大明天皇帝と尊称されると、皇后は応天大明地皇后の尊号を加えられました。

軍事的な功績

彼女は、単なる后妃として宮中に留まるだけでなく、自ら軍を率いて国を守ることもありました。阿保機がゴビ砂漠を越えて党項に遠征した際、黄頭と臭泊の2室韋が契丹本部を襲撃しました。この時、皇后は留守の兵を率いてこれを迎え撃ち、見事に撃破し、その名を轟かせました。

内政への貢献

晋王李存勗が契丹に救援を求めた際には、皇后のことを叔母と称して臣事しました。また、幽州の劉守光が韓延徽を派遣して救援を求めた際、韓延徽が拝礼しなかったため、阿保機は彼を抑留しました。しかし、皇后は「節を守って屈しないのは賢者です。ぜひ礼遇して任用なさい」と進言し、阿保機は韓延徽を召し出して語り合い、気に入って謀主としました。呉の徐知誥が猛火油を献上した際には、阿保機が幽州攻撃を企てましたが、皇后は「油を試すために人の国を攻める者がいるでしょうか」と諫めて取りやめさせました。渤海国攻撃においても、皇后は計略を献じ、阿保機を助けました。

称制と内乱

926年に阿保機が死去すると、皇后は称制し、契丹の軍事と国政を掌握しました。葬儀の際、殉死を試みましたが、親戚や百官に強く諫められ、右腕を断って柩に納めました。太宗が即位すると、皇太后に立てられました。しかし、彼女は末子の耶律李胡を後継者にしようと考えており、太宗の死後、李胡に軍を率いて世宗を迎え撃たせました。李胡は敗北し、皇后は自ら軍を率いて世宗と対峙しましたが、耶律屋質の諫言を受け入れ、撤兵しました。その後、祖州に身柄を移されました。

死去とその後

953年、淳欽述律皇后は75歳で崩御しました。祖陵に合葬され、諡は貞烈とされました。後に淳欽皇后と改諡されました。

淳欽述律皇后は、遼の建国と発展に大きく貢献した女性です。軍事、政治の両面で卓越した才能を発揮し、国を支えました。彼女の生涯は、勇気と知性、そして国を愛する心に満ち溢れていました。

伝記資料

『遼史』巻71 列伝第1
『契丹国志』巻13

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