逸見宗助

逸見宗助

逸見宗助（へんみ そうすけ、1843年 - 1894年）は、幕末から明治にかけての武士、剣術家、警察官として知られています。

生い立ちと剣術修行

逸見宗助は、佐倉藩の藩士である逸見信敬の子として生まれました。父は立身流第17代宗家であり、幼少の頃から家伝の立身流を修行しました。立身流は袋竹刀を用いる古式の剣法でしたが、江戸で竹刀防具を使った撃剣試合が盛んになると、佐倉藩も他流試合を許可し、北辰一刀流や鏡新明智流などを学んだとされています。特に鏡新明智流からは高弟の上田馬之助が訪れ、逸見は上田から指導を受けました。

1860年（万延元年）には、父から立身流居合の目録を受けました。翌年、藩から剣術留学の許可を得て江戸へ出て、鏡新明智流士学館道場を中心に1年間、撃剣の修行に励みました。帰藩後は、刀術所の師範並となりました。

明治維新後

明治維新後、廃藩置県により一時八街の開墾に従事しましたが、1879年（明治12年）に警視庁に撃剣世話掛が創設されると、上田馬之助、梶川義正とともに最初に登用され、警察官となりました。本部武術課・撃剣専務教師として、警視流剣術・居合・柔術を制定し、警視庁武術の中心人物として活躍しました。

剣客としての活躍

1884年（明治17年）12月、滋賀県県令の籠手田安定が関西の剣客を引き連れて警視庁に試合を挑みました。滋賀県警察部の高山峰三郎に撃剣世話掛30余名が次々と敗れる中、最後に逸見が立ち向かい、得意の上段の構えから小手を決めて勝利し、警視庁の面目を保ちました。その後も、奥村左近太や松崎浪四郎といった剣客たちと名勝負を繰り広げました。

1887年（明治20年）11月11日には、伏見宮邸で行われた天覧兜割試合に、逸見、上田馬之助、榊原鍵吉の3人が選ばれて出場しました。逸見と上田は失敗しましたが、榊原は名刀同田貫を用いて見事に成功させました。

山岡鉄舟は逸見について、「剣客はたくさんいるが、逸見だけは真の剣を遣う」と評しました。また、水練の達人でもあり、高野佐三郎がその才能を称えています。

逸見宗助は、剣術家としてだけでなく、警察官としてもその名を残し、日本の武道史に大きな足跡を残しました。

参考文献

堂本昭彦『高野佐三郎剣道遺稿集』スキージャーナル、1989年。
『剣の達人111人データファイル』新人物往来社、2002年。
清水昇著、歴史群像編集部編『幕末維新剣客列伝』学研パブリッシング、2010年。

外部リンク

立身流 総本部 公式サイト - 立身流の特徴 - 警視庁における立身流 - 逸見宗助、兼松直廉、村井光智
* 無外流兵法譚

もう一度検索