遊歩公園

大分市の歴史と文化が息づく遊歩公園

大分県大分市中心部にある遊歩公園は、約400メートルにわたって南北に細長く伸びる都市公園です。かつて城下町として栄えた府内城址公園から南へ続く、県庁前古国府線（通称：遊歩公園通りまたは大手通り）の中央に位置し、国道197号（昭和通り）と国道10号（産業通り）を結ぶ要衝にあります。府内五番街商店街、サンサン通り、ポルトソール商店街といった商業エリアにも近く、人通りの多い賑やかな立地です。

多彩な彫刻と記念碑が織りなす歴史の散歩道

遊歩公園の魅力は、その歴史と文化を物語る数々の彫刻や記念碑にあります。朝倉文夫や北村西望など、日本を代表する彫刻家たちの作品が点在し、来訪者に豊かな感性と歴史への理解を促します。これらの作品は、中世に府内（現在の大分市）で開花した南蛮文化を記念するものも多く、当時の国際交流の盛況を偲ばせます。

特に注目すべきは、聖フランシスコ・ザビエル像、西洋音楽発祥記念像、伊東ドン・マンショ像、西洋医術発祥記念像、西洋劇発祥記念碑など、南蛮貿易やキリスト教伝来にまつわるモニュメントです。これらの作品は、単なる彫刻としてだけでなく、歴史的背景や出来事を伝える貴重な資料となっています。

また、大分県出身の作曲家、瀧廉太郎の像も設置されています。遊歩公園は、瀧廉太郎の終焉の地でもあることから、その生涯と音楽への功績をしのぶ場ともなっています。

公園の歴史と近年の整備状況

遊歩公園は1951年（昭和26年）3月31日に開園しました。その後、1962年（昭和37年）には南側が延長され、現在の規模となりました。1993年（平成5年）には大分市の公園リフレッシュ事業の一環として、隣接する大手公園と一体的な整備計画が検討されました。その後、2010年（平成22年）には南側の一部区間で通行改善工事が行われましたが、大規模な再整備は未だ実現していません。2012年（平成24年）時点では、10年以内の中期事業として再整備が計画されています。

大分駅再開発に伴い、駅前広場に南蛮文化関連の像を集める構想もありました。遊歩公園内のいくつかの像を移設する案も浮上しましたが、最終的には実現しませんでした。

主要な彫刻・記念碑の詳細

以下、遊歩公園内にある主な彫刻・記念碑について、北から南の順に説明します。

聖フランシスコ・ザビエル像: 彫刻家佐藤忠良による作品で、1969年設置。日本への航路を示す世界地図を背景に、十字架と手を掲げたザビエルの姿が力強く表現されています。（大手公園内）
西洋音楽発祥記念像: 彫刻家富永直樹による作品で、1971年設置。神父がビオラを演奏する様子が描写され、西洋音楽伝来の歴史を物語ります。（大分県庁前広場）
伊東ドン・マンショ像: 彫刻家北村西望による作品で、1975年設置。天正遣欧少年使節の主席正使、伊東マンショが馬に乗った姿で表現されています。
みどりのかげ: 彫刻家朝倉文夫による1925年の作品。あごに手を当て、物思いにふける裸婦像です。
健ちゃん像: 北村西望による1917年の作品。大きな帽子をかぶった少年の、無邪気な表情が印象的な作品です。
西洋医術発祥記念像: 彫刻家古賀忠雄による作品で、1972年設置。ポルトガル人医師アルメイダと日本人助手による外科手術の様子が表現されています。
瀧廉太郎君像: 彫刻家朝倉文夫による1950年の作品。作曲家瀧廉太郎の像で、朝倉自身の自筆の文が刻まれています。
西洋劇発祥記念碑: 彫刻家舟越保武による1949年の作品で、1974年設置。『ソロモンの裁判を願った二人の婦人』の場面をモチーフにしています。
育児院と牛乳の記念碑: 彫刻家圓鍔勝三による作品で、1973年設置。アルメイダが開設した育児院での様子が表現されています。
姉妹: 朝倉文夫による1947年の作品。背中合わせに立つ2体の裸婦像です。

これらの彫刻や記念碑は、単なる装飾物ではなく、大分市の歴史と文化を語る上で重要な役割を担っています。遊歩公園を訪れた際には、一つ一つの作品に込められた意味や歴史背景を想像しながら、散策してみてはいかがでしょうか。

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