道仏 (階上町)

青森県 階上町道仏（どうぶつ）

道仏は、青森県三戸郡階上町に位置する地域で、多くの小字から構成されています。旧糠部郡に属し、現在は階上町の経済と政治の中心地として機能しています。近年は八戸市のベッドタウンとしての性格も強まっています。

地理

道仏は、階上町の北東部、階上岳の北東麓に広がる丘陵地帯に位置し、東は太平洋に面しています。道仏川をはじめとする多くの河川が北東に流れ、海岸線は変化に富んでいます。沿岸部では漁業が盛んで、サケ、イカ、カレイなどが水揚げされるほか、アワビやウニ、コンブなどの海産物も豊富です。また、内陸部では稲作や畑作、野菜栽培などの農業も行われています。道仏、大蛇、荒谷、追越、榊、榊山、小舟渡といった集落が点在しています。

特筆すべき点として、道仏にある階上町役場の震度計が、近隣の八戸市や久慈市の震度計よりも高い震度を記録することがしばしばあります。これは、役場が軟質な火山灰層の上に立地しているためで、地盤の硬さの違いが震度計測に影響を与えていると考えられています。実際に、道仏と硬質な地盤を持つ大蛇地区で震度を計測したところ、平均して0.6の差が見られました。

河川と漁港

道仏地域には、以下の河川と漁港があります。

道仏川：地域の南部を東流する主要な河川です。
大蛇漁港：第1種漁港に指定されています。
追越漁港：沿岸漁業が盛んです。
榊漁港：地域経済を支える重要な漁港です。
小舟渡漁港：第2種漁港に指定されています。

これらの漁港は、沿岸漁業の拠点として、地域経済に大きく貢献しています。

大蛇地区

大蛇地区は、江戸時代には大蛇村として存在し、八戸廻（山根通）に属していました。盛岡藩の南部利直が、大蛇浜の海産物の収取権を八戸氏に認めた記録が残っています。その後、田名部と八戸海岸部の交換により、根城南部氏の所務地となりました。明治時代には、麦や雑穀、麻糸、魚類などが主な産物でした。現在は、JR八戸線の大蛇駅が設置され、大蛇漁港が地域の漁業を支えています。

耳ケ吠地区

耳ケ吠地区は、道仏の西部に位置し、国道45号沿いに集落や商店が並んでいます。1981年に階上町役場が移転してからは、官庁センターとしての様相を呈し、新興地域として発展しました。

小舟渡地区

小舟渡地区は、江戸時代から明治時代初期にかけて道仏村の枝村の一つとして存在し、八戸廻に属していました。小舟渡漁港を中心に栄えており、八戸藩政下では経済や防衛の面で重要な役割を果たしていました。特に、異国船の出没に備えて浦堅地に指定されたり、台場が建設されたりするなど、防衛拠点としての役割も担っていました。小舟渡海岸は、藩主の浜遊びの場所としても利用されました。観音平には、寺下観音が牛に乗って上陸したという伝説が残っています。明治時代には、麦や雑穀、麻糸、魚類などが主な産物でした。

小字

道仏地域には、以下のような多くの小字が存在します。

荒田、荒谷、石渡窪、泉田窪、猪立窪、銀杏木窪、犬石、芋ノ窪、牛河原、後ロ窪、上野窪、上野前、大蛇、大蛇長根、大草里窪、大平山、大古里、乙沢、追立窪、鹿倉、鹿糠、上大古里、上久保、上桑木窪、上天摩、柄貝、北向、小舟渡、榊、榊平、榊山、笹平窪、笹畑、沢前戸、下道、下大古里、下桑木、下平窪、下天摩、砂取、銭神、外窪、外白座窪、段流、蔦木、堤、天当、天当平、天満ノ木、天満林、鳥居外、道仏、中大古里、廿一、二ノ窪、野附窪、白座窪、馳下、八森鹿倉、八森窪、浜久保、藤沢、法師窪、程熊、町道端、松森、耳ケ吠、向、谷島、横沢、横沢山、蓬窪

また、以下のような小字は現在では消滅しています。

石渡、銀杏の木、草前、桑の木、外川、高山、茶田平、白蛇

地価

2023年の公示地価によると、道仏の宅地および宅地見込み地の地価は以下の通りです。

道仏字榊山7番9：7,500円/m2
道仏字耳ケ吠6番571：10,400円/m2
道仏字大蛇長根5番12：4,900円/m2
道仏字耳ケ吠7番18：14,400円/m2

歴史

道仏地域には、縄文時代の遺跡が広く分布しており、古くから人が生活していたことがわかります。戦国時代には、赤松民部吉時が道仏館に居住していましたが、九戸政実の乱で落城し、その後奪還されました。江戸時代初期には、砂金が採掘されており、金山役が課せられた記録も残っています。また、根城南部氏の給地として、地域が管理されていました。

村高は時代によって変動がありましたが、江戸時代には200石前後でした。明治時代には、塩や海草が特産物として知られていました。

沿革

1444年：道仏館主・赤松民部介義成の命により、西光寺が開山。
1556年：西光寺が現在地に移設。
1591年：九戸政実の乱で道仏館が落城。
1618年：大蛇が根城南部氏の所務地となる。
1826年：追越で火災が発生。
1842年：小舟渡で火災が発生。
1865年：盛岡藩領から八戸藩領となる。
1871年：八戸県、弘前県、青森県に属する。
1876年：道仏小学校、小舟渡小学校、追越小学校が成立。
1877年：道仏小学校と小舟渡小学校が合併し、石渡小学校が成立。
1878年：石渡小学校が分離し、道仏小学校と小舟渡小学校となる。
1885年：道仏小学校が小舟渡小学校、追越小学校を併合。
1889年：町村制施行により、階上村が誕生。
1896年：明治三陸大津波により被害。
1902年：大蛇に製軸工場が創業、大蛇小学校および小舟渡小学校が開校。
1924年：八戸線が開通、階上駅が開設。
1933年：昭和三陸地震による津波で被害。
1956年：八戸線大蛇駅が開業。
1961年：各漁協が合併し、道仏漁協が成立。
1980年：階上村が町制施行し、道仏は階上町の大字となる。
2011年：東日本大震災で津波被害。

東日本大震災では、人的被害はなかったものの、大蛇地区で10mを超える津波が押し寄せ、護岸が破壊されました。地域住民は避難訓練を行い、防災意識を高めています。

施設

道仏には、以下のような施設があります。

はしかみハマの駅あるでぃ〜ば
アスナ公園
大蛇三地区集会所
小舟渡集会所
道仏漁業協同組合
駅前集会所
階上町役場
青森銀行階上支店
階上町民体育館
ハートフルプラザはしかみ
道の駅はしかみ
耳ケ吠東地区集会所
赤保内集会所
ユニバース階上店
階上町道仏交流センター
道仏公民館
階上町立道仏中学校

寺社仏閣

金刀比羅神社：小舟渡地区にある旧村社。
海中山西光寺：浄土宗の寺院で、道仏川左岸から現在地に移設。
館神社：道仏館跡にあり、地域の人々に信仰されています。

交通

鉄道：JR八戸線（階上駅、大蛇駅）
道路：三陸沿岸道路、八戸久慈自動車道、国道45号、青森県道1号八戸階上線、青森県道42号名川階上線
バス：階上町コミュニティバス

地名の由来

地名の由来には諸説ありますが、歴史家の吉田東伍は、アイヌ語の「トペチ」（湖川）が由来であると推測しています。

統計

2020年の国勢調査によると、道仏の人口は4,853人、世帯数は1,890戸です。詳細は以下の通りです。

総人口：4,853人
男性人口：2,364人
女性人口：2,459人
外国人人口：5人
就学人口：500人
未就学人口：179人
世帯数：1,890戸