遠山秀友

遠山秀友（とおやま ひでとも）は、江戸時代初期の武将で、美濃苗木藩の第2代藩主です。通称は刑部（ぎょうぶ）といい、初代藩主である遠山友政（とおやま ともまさ）の長男として生まれました。

慶長14年（1609年）12月2日（旧暦11月6日）に苗木城で誕生しました。幼少の頃から聡明であったと伝えられています。慶長19年（1614年）には、将軍・徳川秀忠（とくがわ ひでただ）に謁見し、その才能を認められました。

元和5年（1619年）12月19日に父・友政が亡くなったため、翌元和6年（1620年）5月に家督を相続し、苗木藩の第2代藩主となりました。藩主となった秀友は、藩政の安定に尽力し、領内の統治に手腕を発揮しました。寛永13年（1636年）には、大坂加番（おおさかかばん）を勤め、大坂城の警備を担当しました。さらに寛永14年（1637年）には、江戸城本丸奥の間御普請御手傳（えどじょうほんまるおくのまごふしんおてつだい）を務め、江戸城の修築にも携わりました。これらの役職を通じて、幕府からの信頼を得ていたことが伺えます。

寛永16年（1639年）には、美濃郡代の岡田善政（おかだ よしまさ）が、江戸城本丸の建築用材として、福岡村から1万本もの木材を伐採しました。この出来事は、当時の幕府の財政状況と、地方の資源がどのように活用されていたかを示す一例です。寛永17年（1640年）には、再び大坂加番を勤め、その責任を果たしました。

寛永19年（1642年）1月7日、秀友は苗木城にて34歳という若さで亡くなりました。その死は、藩内だけでなく、周囲にも大きな衝撃を与えたとされています。 墓所は、中津川市苗木の苗木遠山家廟所（なえぎとうやまけびょうしょ）にあります。この場所は、明治初期に廃仏毀釈によって廃寺となった雲林寺の跡地です。秀友の死後、家督は嫡男の遠山友貞（とおやま ともさだ）が継ぎ、苗木藩主となりました。秀友は、若くして亡くなりましたが、その短い生涯の中で、藩政の安定と発展に貢献し、苗木藩の基礎を築いた人物として、後世に語り継がれています。

参考文献

『苗木藩政史研究』　第一章　苗木藩の成立　第一節　苗木藩の成立事情　二　歴代藩主の素描　二代刑部少輔秀友　p10　後藤時男　中津川市　1982年
『中津川市史　中巻Ⅰ』　第五編 近世（一） 第一章 支配体制と村のしくみ　第三節　領主の略系譜　一　遠山家　遠山刑部少輔秀友　p45～p46　中津川市　1988年
『恵那郡史』　第七篇　江戸時代　(近世「領主時代」)　第二十八章　諸藩分治　其二　苗木藩距江戸　遠山秀友　p232～p233 恵那郡教育会　1926年
『福岡町史　通史編 下巻』　第五部 近世　第一章　近世における苗木藩の概観　第一節 苗木藩成立と領村支配　苗木遠山氏と藩主　p1～p8　福岡町　1992年

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