郝普

郝普の生涯と業績

郝普（かく ふ、生没年不詳）は、中国後漢末期から三国時代にかけて活動した政治家であり武将である。字は子太で、荊州義陽郡に属していた。彼の政治と軍事における経歴は、劉備と孫権の二大勢力との関係を紡いだ複雑なものである。

初期のキャリア

建安19年（214年）、劉備が益州を平定した際、郝普は零陵太守に任命され、関羽の下で荊州における防衛任務に従事していた。この年、孫権は劉備が返還を拒んでいた長沙・零陵・桂陽の三つの郡に太守を派遣したが、関羽はこれを退けた。これに対し、孫権は自ら軍を指揮し、関羽の動きを封じるために陸口に駐屯。呂蒙には三郡の攻撃を命じた。

長沙と桂陽は迅速に降伏したものの、零陵の郝普は降伏を拒否して郡を守り続けた。しかし、状況が変わると、劉備が公安に来援し、関羽は三郡を奪還するために益陽へ向かうこととなった。

降伏への道

この段階で、孫権は呂蒙に魯粛を救援するよう命令し、呂蒙は郝普の古い友人である鄧玄之を利用して「劉備が漢中で夏侯淵に包囲されており、関羽も南郡で負けている」という falsified 情報を流した。これにより郝普は動揺し、戦意を失った結果、降伏を決定した。

しかし、呂蒙との面会後に彼が受けた情報が虚偽であったと知り、郝普は深い慚愧の念に駆られ、突っ伏してしまった。これ以降、彼は一時的に劉備の元に戻されたものの、すぐに孫権の元に帰ることとなった。

後の昇進と悲劇

呉に戻った郝普は、廷尉に昇進し、さらに朋党の隠蕃とも親交を結んだ。隠蕃はその卓越した才能から廷尉監に任命されたが、郝普は彼の実力を称賛し、高位に就けないことに対して不満を漏らしていた。

しかし、隠蕃が魏から派遣された間諜であったことが発覚し、孫権はこれを厳しく問責。結果として郝普は隠蕃の事件に連座し、自ら命を断つに至った。

評価と影響

郝普は蜀漢の楊戯が著した『季漢輔臣賛』に名を連ねているが、糜芳や士仁、潘濬らと共に「魏・呉の笑い者」として評価されることとなった。また、彼は小説『三国志演義』には登場しないキャラクターでもある。

郝普の物語は、彼の忠誠や複雑な立場、そして悲劇的な結末を通じて、三国時代の人々の運命を象徴するものであり、彼の人生は歴史の中に深く刻まれている。彼の事績は、時代の流れの中でどのように人間の運命が影響を受けるかを考えさせる一例である。

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