糜芳

糜芳の生涯と三国志での役割

糜芳（び ほう）は、中国の後漢末期から三国時代にかけて活動した将軍であり、政治家としても知られています。彼の人生は、兄の糜竺と妹である糜夫人との結びつき、そして主君である劉備との関係によって形作られました。糜芳の本来の姓は縻（または靡）という読みとしていたとされ、彼は徐州東海郡朐県つまり、現在の江蘇省連雲港市に生まれました。

劉備への仕官

まず糜芳は、兄の糜竺と共に劉備に仕える道を選びました。劉備が曹操に接近した際、彼は曹操から彭城国相に任命されましたが、劉備が曹操と決別すると、再び劉備に従うことになりました。この時期、糜芳は重要な役割を果たしましたが、後に発展する関羽との関係が彼に影を落とすことになります。

劉備が益州に進入すると、関羽は荊州の総督として任命されます。一方、糜芳は南郡太守に任じられ、荊州の防衛を任されました。この位置にあった糜芳は、荊州の防衛責任を担うも、関羽との間にはずっと不和がありました。219年、関羽が樊城の攻城に際し、糜芳とその部下である士仁は必要最低限の支援しか行わず、彼らの間に摩擦が生じました。さらに城内で火事が起き、軍器が焼失する事件が重なると、関羽から激しい叱責を受ける事態となり、糜芳はますます恐れを抱くようになります。

孫権との内通

このような状況を知った孫権は糜芳にアプローチを行い、彼を取り込むことに成功しました。糜芳は内通し、孫権の軍を受け入れる手筈を整えます。彼は南郡において士仁が早期に降伏したことを知り、その後無事に降伏を果たしたとされています。ただし、この降伏の詳細には諸説あり、『三国志』の多くの文献で異なる見解が示されています。

降伏後、糜芳は孫権の将軍として新たな道を歩むこととなります。223年には、孫権の命令により賀斉の部下として魏の反乱軍を討つ任務に従事しました。この時期、糜芳は蜀と呉の両国で裏切り者として扱われ、蔑まれることも多くなりました。

影響と評価

『三国志』に引用されている資料によると、強い批判にさらされ、忠義を守れなかったことから、彼の名は悪名と共に歴史に刻まれています。呉に仕官後の糜芳は、虞翻との間に葛藤があり、恥じて行動する一方で、かつての主である劉備に対しての忠誠が問われる場面にも直面します。

小説『三国志演義』における描写

小説『三国志演義』では、糜芳の行動が特に目立ち、彼の兄や劉備を裏切る振る舞いが描かれています。長坂の戦いでの趙雲の行動を誤って讒言し、劉備の冷酷な結末を迎えさせる一助をなした彼の故事は、非常に興味深いものとなっています。最終的に、劉備自身の手によって命を落とすことになる彼の運命は、忠義と裏切りの難しさを強く訴えかけています。

結論

糜芳の人生は、彼が仕えた君主たちとの関係や彼自身の選択によって彩られ、三国時代の複雑な政治状況を物語っています。その経歴は、特に劉備、曹操、孫権という三国のトップに仕官した珍しい事例として、歴史に名を刻んでいます。彼の行動は一つの教訓であり、時には忠誠が揺らぐこともあるという人間の本性を反映しているのです。

もう一度検索