都城制

都城制とは

都城制（とじょうせい）は、主に東アジア文化圏において、中国の都城をモデルとした都市設計の特徴を指します。これは特に、城壁によって囲まれた都市、いわゆる「初期の都市形態」に強く影響を受けています。

都城の概念

広い意味では「都城」は城壁に囲まれた全ての都市を示しますが、狭義には「条坊制」と呼ばれる特定の規則に従って構築された、首都やその副都に該当します。この規則は、古代中国の儒教の古典である『周礼』に基づき、具体的には、きれいに整備された直方形の街区が9里となり、その中に南北に9条、東西に9坊の道が配置されます。道幅は車のわだちの9倍、この中心には宮室が存在し、その周囲に宗廟と社稷が配置されるのです。また、都城の南側には朝廷があり、北側には市場が設けられます。

歴史的に見ても、こうした純粋な都城制が実際に採用されたのは、非常に限られたケースであることがわかります。特に秦・漢時代の都については、具体的な設計が不明瞭ですが、三国時代の魏の鄴や西晋朝の洛陽においては、条坊制に基づいた都城が整備された可能性があります。

中国の都城の進化

時代が進むと、北宋の東京開封城や元の大都では、ほぼ東西南北の直線的配置が見られるものの、条坊制の厳密な遵守とは異なった部分もあります。たとえば、明清時代の北京城では、内城と外郭に分かれ、内城の中央には皇城、その奥には宮城が設けられていました。ここに存在する紫禁城は、現在の故宮博物院として知られる重要な歴史的遺構です。

特に中国では、中央に宮殿を置く形が一般的でしたが、北魏の洛陽や隋唐時代の長安では、宮殿を都城の北端中央に配置するという異例の構造もありました。これらの制度は、古代日本においても強い影響を与えました。

日本における都城制の導入

日本における都城制は645年にさかのぼり、難波宮で行われた大化の改新の詔において、初めて「京師」が修繕されたことが示唆されています。694年には藤原京が建立され、これは明確に日本における都城制の初事例として確認されています。藤原京は南北12条、東西4坊の整然とした街路が配置され、その中に中心となる宮城があります。

710年には、藤原京の北に平城京が設立され、ここでは更に道路の幅を拡張した朱雀大路や、壮大な羅城門が追加されました。この期間に平城京、長岡京、平安京と都城が発展していったものの、その背後にあった中国からの影響か、または独自の進化かに関しては、さまざまな見解があります。

日本の都城の特異性

日本の都城においては、中国のような宗廟や社稷が存在せず、あまり大規模な羅城も見られないことが特徴的です。また、都城の住民に対して強い監視が必要な状況が無かったため、都城が設けられた背景には、異なる社会的条件があったと考えられます。日本の都城は独自の発展を遂げ、文化的な要素や社会構造が形作られることとなりました。

まとめ

都城制は、東アジアにおける都市設計の重要な一形態であり、中国から日本への影響は深く、多様な歴史的背景を持っています。これにより、都市の構成や文化、社会の形成に大きな影響を及ぼしてきました。

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