都城東・西飛行場

都城東飛行場・西飛行場：特攻の地、その歴史と終焉

都城東飛行場と西飛行場は、第二次世界大戦末期に宮崎県都城市に存在した大日本帝国陸軍の飛行場です。これらは、沖縄戦や天号作戦における特攻作戦の拠点として重要な役割を果たしました。特に、陸軍第6航空軍隷下の特攻隊である振武隊が主に配備され、多くの若者がこの地から出撃し、帰らぬ人となりました。

特攻基地としての都城

1945年（昭和20年）4月、沖縄攻防戦が激化する中、南九州の各航空基地からは特攻機が続々と飛び立っていました。都城市郊外には、「都城東飛行場」と「都城西飛行場」の2つの特攻基地が存在しました。

西飛行場は、1944年（昭和19年）から明野教導飛行師団の第二教導飛行隊が展開し、一式戦や四式戦による戦闘訓練を実施していました。しかし、戦局が悪化するにつれて戦備が強化され、地下壕が建設されるなど、実戦を意識した基地へと変貌していきました。

一方、東飛行場は、1944年前半に海軍が地元住民の協力を得て急造したもので、零戦の訓練が行われていたとされます。1945年3月以降は陸軍専用となり、特攻機の掩体壕が設けられるなど、特攻基地としての性格を強めていきました。東飛行場は、西飛行場のような激しい空襲を受けることが少なかったため、終戦まで特攻機が出撃し続けました。

基地と隊員の状況

都城東飛行場は、都城盆地の東側を流れる沖水川の川原に位置し、自然の地形を利用したものでした。部隊の宿舎は丘陵地帯に半地下壕式に造られ、航空機は森林や山裾の影に隠されていました。西飛行場には、通常の訓練基地には配置されない飛行場大隊が派遣され、有事の際に強力な航空部隊を進出させるための準備が行われていました。通信部隊は、各地の飛行場群との通信や、敵機の来襲状況を傍受するなど、実戦さながらの活動を行っていました。

特攻隊員は、陸軍航空士官学校を出たばかりの若い士官や、特別操縦幹部候補生、少年飛行兵などで構成されていました。彼らは出撃までの間、市内の旅館に宿泊し、訓練を行う余裕もないまま、出撃の日を迎えていました。市内の住民は、特攻隊員を尊敬の念をもって迎え、女子青年団などが献身的に世話を焼きました。

出撃前夜には壮行会が開かれ、隊員たちは死を前にした者とは思えないほど、普段と変わらない様子で談笑していました。ある隊員は、出撃前の休憩中に熟睡し、その豪胆さに周囲は驚嘆したといいます。また、所持金を出し合って愛国機献納に託す隊員もいました。

特攻隊の出撃

都城飛行場から出撃する航空機は、出撃1時間前に飛行場に引き出され、点検や爆弾の搭載が行われました。隊員たちは、見送りの人々と最後の挨拶を交わし、悲壮感と緊張感が漂う中、離陸していきました。四式戦は離陸が難しく、失敗する機体や、故障で引き返す機体も少なくありませんでした。

都城基地から出撃した特攻機は、全部で10隊79名でした。これは九州方面から出撃した陸軍特攻隊数の約10%に過ぎませんが、編成人員に対して特攻戦没者の率が高いこと、使用機種が全て当時の最新鋭機とされた四式戦（疾風）であったことが特徴です。

基地のその後

戦後、都城飛行場は撤去され、西飛行場跡は公団住宅群が建設されました。東飛行場跡は開拓地となり、海外からの引き揚げ者や軍人、一般農家の人々が農業に従事しました。現在、都城西飛行場跡の一部は陸上自衛隊が「都城訓練場」として利用しています。また、都城歴史資料館では特攻隊員の遺品や資料などが展示されています。

都城東飛行場は北緯31度45分55.63秒東経131度6分0.77秒、都城西飛行場は北緯31度44分8秒東経131度2分21.45秒に位置していました。

都城の地から飛び立った特攻隊員たちの魂は、今もなおこの地に眠っています。

参考文献

寺井俊一『航空基地都城疾風特攻振武隊』原書房、1977年。