重脚目

重脚目 (じゅうきゃくもく)

重脚目は、植物食性の有蹄哺乳類に属する一分類群であり、学名はEmbrithopodaです。このグループは、かつてアフロ・ユーラシア大陸に生息し、特にその形態は現代のサイに似ていました。重脚目の最初の出現は約4,000万年前の新生代始新世後期前半（バートニアン）であり、主にアフリカ大陸から広がり、その後ユーラシア大陸にも地理的分布を拡げました。彼らは、2,000万年以上にわたり繁栄を続けましたが、約2,300万年前（漸新世末期・チャッティアン）に絶滅しました。

生物の特徴

重脚目には、アルシノイテリウム科とフィナコロフス科の2つの科が含まれますが、中でもアルシノイテリウム属は比較的知られている種です。これらの動物は、頑丈で大きな体型を持ち、短くてしっかりした四肢を特徴としています。代表的な種の一つであるアルシノイテリウムは、特に印象深い外見を持ち、頭部に巨大な角を有していました。これらの角は、外見上はサイの角に似ていますが、進化系統上の直接的な親戚関係はなく、収斂進化によるものです。重脚目の角は骨質で、サイの角がケラチンでできているのとは異なります。そのため、重脚目の角は、頭蓋骨自体の成長によって形成され、内部は空洞な構造をしています。

また、重脚目の体の皮膚は、現生のゾウに似て厚く、ほとんど無毛であったと考えられています。彼らの歯の形状はやや原始的であり、植物食性の生活様式を示唆しています。生息地は、平坦な地形で水が豊富な環境や、熱帯のマングローブ、温帯の沼沢地など比較的開けた森林です。

発見史

重脚目の化石は、1970年代まではエジプトのファイユーム地方以外からは発見されませんでした。そのため、これらの動物はアフリカ固有の絶滅生物と考えられていました。しかし、1980年代に入るとモンゴルやトルコ、ルーマニアでも発見されています。これにより、重脚目はユーラシア大陸各地にも広く分布していたことが明らかになりました。また、リビア、エチオピア、アンゴラ、オマーン、中国などでも化石が見つかっており、重脚目の広範な分布が確認されています。

系統分類

重脚目はアフリカ獣上目の一部であり、近蹄類に位置づけられています。この分類は、イワダヌキ目の祖先を基に形成された単系統群であり、岩狸目、重脚目、テティス獣類（長鼻目や海牛目などを含む）を統合したグループです。重脚目は、岩狸目から最も早く分化したとされる説が有力です。また、重脚目は合計で5つの科を含むこのグループにおいて、最も近縁な系統である可能性があります。

重脚目の研究は、進化や生態系における重要な側面を理解するのに役立っており、これらの化石から得られる知識は、哺乳類の進化史を解明する上で欠かせない要素となっています。

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