野家啓一

野家啓一の学術的業績

野家啓一（のえ けいいち、1949年2月21日生まれ）は、日本の著名な哲学者であり、主に科学哲学の分野で活動しています。彼は東北大学の名誉教授であり、長年にわたり大学での教育と研究に尽力してきました。

経歴

宮城県仙台市に生まれた野家は、仙台第一高等学校を卒業後、東北大学の理学部に入学しました。1971年に物理学科を卒業した後、彼は哲学への興味を深め、東京大学大学院に進学しました。特に、廣松渉の論文「マッハの哲学と相対性理論」からの影響が、彼の学問的方向を決定づけるきっかけとなりました。大学院では大森荘蔵に師事し、1974年に修士号を取得。その後、博士課程を中退し、1976年に南山大学の文学部助手として教育界に身を投じました。

職歴

野家は南山大学において助手から講師を経て、東北大学に移り、1991年には教授に就任しました。その後、大学院文学研究科の教授や、文学研究科長・文学部長を歴任し、副学長としても活動しました。彼は、13年間にわたり大学の理事を務め、その後も教養教育院で特命教授として活動しています。2019年には河合文化教育研究所の主任研究員に就任し、現在も精力的に研究を続けています。

学外における役職

彼は、2003年から2006年まで日本哲学会の会長を務め、日本学術会議の会員でもあります。これらの役割を通じて、彼は日本国内外の哲学界において影響力を持ち続けています。

研究内容・業績

野家は、その研究範囲が非常に広く、分析哲学や科学哲学にとどまらず、日本の哲学、特に西田幾多郎や高橋里美に関する研究も行っています。彼の代表的著作には、『科学の解釈学』（1993年）、『物語の哲学』（1996年）、『歴史を哲学する』（2007年）などがあります。

主要著書

• - 「言語行為の現象学」（1993年、勁草書房）
• - 「無根拠からの出発」（1993年、勁草書房）
• - 「科学の解釈学」（1993年、新曜社、増補版は2007年、講談社学術文庫で改訂版あり）
• - 「物語の哲学」（1996年、岩波書店、現代文庫版は2005年）
• - 「クーン――パラダイム」（1998年、講談社）
• - 「科学の哲学」（2004年、放送大学教育振興会）
• - 「歴史を哲学する」（2007年、岩波書店、現代文庫版は2016年）
• - 「はざまの哲学」（2018年、青土社）

その他の貢献

野家啓一は、さまざまな共著や編著にも関与しており、現代思想や哲学の普及に寄与しています。また、彼は数多くの訳書も手掛けており、国内外の哲学に対する深い理解を築いています。これらの業績を通じて、彼は日本の哲学界における重要な人物としてその地位を確立しています。野家の思想は、学問だけでなく社会全体への貢献にもつながっており、その影響は今もなお広がりを見せています。

もう一度検索