野村嘉六

野村嘉六：地方自治と国政に貢献した政治家、弁護士

野村嘉六（のむら かろく）は、1873年（明治6年）8月10日に生まれ、1952年（昭和27年）1月17日に没した、日本の政治家、弁護士です。彼は、衆議院議員、富山市長、貴族院勅選議員などを歴任し、地方自治と国政に大きく貢献しました。幼名は安次郎といいました。

生い立ちと初期の経歴

野村嘉六は、富山県婦負郡鵜坂村（現在の富山市）で生まれました。1893年（明治26年）に東京法学院（現在の中央大学）を卒業後、1898年（明治31年）に弁護士試験に合格しました。1902年（明治35年）からは判事として、富山、敦賀、大津の裁判所で勤務し、法曹界でのキャリアをスタートさせました。1906年（明治39年）に判事を退官し、富山市で弁護士として独立開業しました。また、富山弁護士会長も務め、地域社会に貢献しました。

政治家としての歩み

1911年（明治44年）3月、野村嘉六は富山県会議員補欠選挙に婦負郡選挙区から立候補し、見事当選を果たしました。県会議員としては短期間の活動となりましたが、その政治家としての才能を発揮し、同年9月に退任しました。1912年（明治45年）の第11回衆議院議員総選挙で衆議院議員に初当選し、その後1942年（昭和17年）まで連続10回当選という記録を打ち立てました。この間、立憲国民党、立憲同志会、憲政会、立憲民政党、翼賛議員同盟と所属政党を変えながらも、一貫して国政に携わりました。

加藤高明内閣と第1次若槻内閣では商工参与官を、濱口内閣では文部政務次官を務め、政策立案にも深く関与しました。1921年（大正10年）5月には富山市会議員にも当選し、地方自治の現場でも活躍しました。1934年（昭和9年）12月20日には富山市長に選出され、市政の発展に尽力しましたが、1935年（昭和10年）5月14日に富山市長を辞職しました。

貴族院議員と晩年

1946年7月8日、野村嘉六は貴族院議員に勅選され、同和会に所属しました。1947年（昭和22年）5月2日の貴族院廃止までその任を務めました。彼は、激動の時代を政治家として生き抜き、日本の民主主義の発展に貢献しました。1952年1月17日22時15分、胃潰瘍のため東京都豊島区の自宅で死去しました。享年78歳でした。

野村嘉六は、弁護士として、政治家として、そして地方自治のリーダーとして、多岐にわたる分野でその才能を発揮し、社会に貢献した人物として、その名は記憶されるべきでしょう。

参考文献

北陸日日新聞社『富山県名鑑』1936年。
衆議院事務局『衆議院要覧（乙） 昭和12年11月増訂』1937年。
貴族院事務局『貴族院要覧（丙） 昭和21年12月増訂』1947年。
衆議院・参議院編『議会制度百年史 - 貴族院・参議院議員名鑑』大蔵省印刷局、1990年。

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