金剛院 (豊島区)

金剛院は、東京都豊島区長崎に位置する真言宗豊山派の寺院で、正式名称を蓮華山仏性寺金剛院といいます。御府内八十八箇所霊場の第76番札所として、多くの参拝者を集めています。

歴史

金剛院は、1522年に聖弁和尚によって、現在の場所から北西約800m離れた場所で開創されました。しかし、延宝年間または元禄年間の末期に原因不明の火災に見舞われ、多くの仏像や古文書が焼失してしまいます。その後、1715年に現在の地に移転しました。

移転先は長崎村の鎮守社であった十羅刹女社（現在の長崎神社）の東隣で、金剛院は十羅刹女社の別当寺となりました。移転後の金剛院は、当時の住職であった十五世・聖誉和尚の尽力により、本堂や大師堂、山門、鐘楼堂などの堂宇、そして仏舎利塔が再建され、寺の景観は大きく変わりました。

赤門

金剛院の山門は、1780年に建立されました。天明年間には、度重なる大火によって多くの人々が被災しましたが、当時の住職であった十九世・宥憲和尚が率先して罹災者を金剛院に収容し、救済にあたりました。この功績が認められ、将軍徳川家治から山門を朱塗りにすることを許されました。当時、朱塗りの門は将軍家と縁のある家などにしか許されない名誉なものでした。このことから、金剛院は地域住民から「赤門寺」として親しまれるようになりました。現在、この朱塗りの山門（赤門）は、1994年6月27日に豊島区の有形文化財に指定されています。

寺子屋

安政年間には、本寺である宝仙寺から智観比丘尼が金剛院に入寺しました。智観比丘尼は、村の子どもたちを集めて寺子屋を開き、礼儀作法や読み書きを教えました。当時としては珍しいこの寺子屋は、地域における庶民教育の先駆けとなり、智観比丘尼は当地における庶民教育の創始者として称えられています。現在、金剛院には、智観比丘尼の功績を称える碑が建立されています。

その他

1924年には、金剛院の門前に西武池袋線「椎名町駅」が開設されました。その後、1926年に長崎村は長崎町に改称し、1949年には金剛院の門前に不動明王を祀る「長崎不動尊」が建立されました。

金剛院の本尊は、阿弥陀如来、観音菩薩、勢至菩薩からなる阿弥陀三尊です。

指定・登録文化財

金剛院には、多くの文化財が指定・登録されています。

本堂（登録有形文化財）
庫裏（登録有形文化財）
赤門（豊島区指定文化財）
道標地蔵尊（豊島区指定文化財）
板碑（豊島区指定文化財）
馬頭観音碑（豊島区指定文化財）

境内の建造物等

金剛院の境内には、以下のような建造物や施設があります。

長崎不動尊
大師堂
四国八十八箇所お砂踏み参拝所
鐘楼堂
弘法大師修行像
智観比丘尼の碑
六地蔵
宝篋印塔
仏舎利塔
庚申供養塔
本堂
木石

近隣の名所

金剛院の近隣には、長崎神社やトキワ荘などがあります。

脚注

[参考文献]

大江戸巡り 御府内八十八ヶ所（和田 信子）;集英社; ISBN 4-08-781227-8（2002年9月30日 第一版発行）
「長崎村 金剛院」『新編武蔵風土記稿』 巻ノ12豊島郡ノ4、内務省地理局、1884年6月。

[外部リンク]

* 金剛院

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