金田頼次

金田頼次（かねだ よりつぐ）

金田頼次は、平安時代後期の武士であり、房総平氏の一族に連なる人物です。上総国長柄郡金田郷（現在の千葉県長生村金田）を拠点とする領主でした。

生涯

治承4年（1180年）8月、源頼朝が伊豆国で挙兵した際、相模国の三浦氏がこれに呼応して出陣しました。しかし、頼朝軍は石橋山の戦いで平家軍に敗れ、三浦勢は本拠地へと引き返します。

『源平盛衰記』によると、頼次の妻は三浦義明の娘であったとされ、この時、頼次は70騎ほどの兵を率いて三浦勢に合流しています。平家方が三浦氏の籠もる衣笠城を攻めるという情報が流れると、頼次は和田義盛とともに城の西木戸に布陣し、防戦に努めました。しかし、連戦で疲弊していた三浦勢は、最終的に城を放棄して敗走することとなります（衣笠城合戦）。

寿永2年（1182年）12月、頼次の兄である上総広常が、源頼朝の命によって謀殺されるという事件が起こります。これを受け、頼次も連座して蟄居を命じられます。翌年1月、広常の無実が認められ、嫡子の康常に旧領が継承されることが決定しましたが、その直後、頼次は病に倒れ、そのまま亡くなりました。

金田頼次の生涯は、源平合戦という激動の時代に翻弄され、短いながらも波乱に満ちたものでした。房総平氏の一員として、また三浦氏との姻戚関係を通じて、源氏の興隆期に重要な役割を果たした人物と言えるでしょう。しかし、兄の死という悲劇に見舞われ、その後の歴史の表舞台から姿を消すこととなりました。彼の最期は、当時の武士社会の厳しさと、権力闘争の非情さを物語る一例として、後世に伝えられています。

参考文献

小笠原長和 編『日本歴史地名大系』 12巻《千葉県の地名》、平凡社、1996年。ISBN 4582490123。
太田亮『姓氏家系大辞典』 1巻、角川書店、1963年。ISBN 9784040302102。
早川純三郎 編『吾妻鏡〈吉川本〉』 1巻、吉川弘文館、2008年。ISBN 9784642041966。
『続群書類従』 6上、八木書店、2013年。ISBN 9784840631525。

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