釧路連隊区

釧路連隊区とは

釧路連隊区は、大日本帝国陸軍の連隊区の一つであり、北海道の一部地域における徴兵・召集などの兵事事務を管轄していました。その前身は根室大隊区であり、名称は根室連隊区を経て釧路連隊区へと変更されました。この連隊区の業務は、釧路連隊区司令部が執行していました。太平洋戦争末期の1945年には、同地域に釧路地区司令部が設置され、地域防衛体制の一翼を担いました。

沿革

釧路連隊区の歴史は、1894年（明治27年）に設置された根室大隊区に遡ります。この大隊区は、第7師管第14旅管に属していました。1896年（明治29年）には、根室連隊区に改組され、旅管が廃止され第7師管に引き続き属しました。この際、廃止された釧路大隊区の区域が編入されました。

1898年（明治31年）には、釧路連隊区へと改称され、管轄区域が大幅に変更されました。同時に、司令部は釧路郡米町から釧路浦見町の新築庁舎に移転しました。1903年（明治36年）には、再び旅管が採用され、連隊区は第7師管第14旅管に属することになりました。

1907年（明治40年）には、全国的な管轄区域の変更がありましたが、北海道においては大きな変更はありませんでした。1925年（大正14年）の軍備整理に伴い旅管が廃止され、引き続き第7師管の所属となりました。1940年（昭和15年）には、北部軍管区旭川師管に属するようになりました。

1945年（昭和20年）には、作戦と軍政の分離が進められ、連隊区の同区域に地区司令部が設けられました。この地区司令部の要員は、連隊区司令部の人員が兼任しました。同年4月には、旭川師管は旭川師管区と改称されました。

管轄区域の変遷

釧路連隊区の管轄区域は、設立当初から何度か変更されています。

1894年（明治27年）の根室大隊区設置時には、根室国、北見国、千島国の各郡が管轄区域でした。1896年（明治29年）の連隊区への改組時には、釧路国の区域が編入され、管轄区域が拡大しました。

1898年（明治31年）の釧路連隊区への改称時には、十勝国区域が編入され、北見国区域は旭川連隊区へ移管されました。その後、1907年（明治40年）には、十勝国当縁郡が削除され、1920年（大正9年）には、旭川連隊区から北見国の郡が再び編入されました。1923年（大正12年）には、釧路市が管轄区域に追加されています。

1925年（大正14年）には、管轄区域の表記が市と支庁によるものに変更されました。1932年（昭和7年）には、支庁の改称があり、1934年（昭和9年）には帯広市が加わりました。最終的な管轄区域は、1943年（昭和18年）に北見市が加わったものとなります。

司令官

釧路連隊区の司令官は、時代とともに変遷しました。初期には、根室大隊区の小泉正保少佐を始め、野崎貞次中佐、徳江重隆少佐などが司令官を務めました。

その後も、大塚嘉輝中佐、鎌田宗八少佐、庄田達次郎中佐、中村安喜中佐、田村乙吉中佐、羽入三郎中佐、高島己作中佐、恵藤不二雄大佐、中村勉作大佐、西良太郎大佐などが、連隊区を統括しました。

太平洋戦争末期には、的野憲三郎大佐が司令官を務め、1945年（昭和20年）には、釧路連隊区兼釧路地区司令官として助川静二予備役陸軍少将が着任しました。

これらの司令官たちは、それぞれの時代における連隊区の運営と、北海道東部の兵事事務に尽力しました。

まとめ

釧路連隊区は、明治時代から太平洋戦争終結まで、北海道東部の兵事行政を担った重要な組織でした。その管轄区域は時代とともに変化し、多くの司令官がその職務を遂行しました。釧路連隊区の歴史は、日本の軍事史、特に地方における徴兵制度の一側面を示すものとして、重要な意味を持ちます。


参考文献

外山操編『陸海軍将官人事総覧 陸軍篇』芙蓉書房出版、1981年。
防衛研修所戦史室『陸軍軍戦備』朝雲新聞社〈戦史叢書〉、1979年。
* 『官報』

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