根室国とは？意味をやさしく解説 - サードペディア百科事典

根室国（ねむろのくに）

根室国は、日本の地方区分である五畿八道の一つ、北海道 (令制)に含まれていました。道東に位置し、現在の根室振興局管内の北海道本島部分と歯舞群島および色丹島で構成されていました。

歴史

国郡制定以前

飛鳥時代には、阿倍比羅夫が粛慎を征討した記録があり、この地域にもオホーツク文化圏の人々が居住していたと考えられています。鎌倉時代から室町時代にかけては、蝦夷（えぞ）が北海道太平洋岸や千島国域におり、蝦夷沙汰職・蝦夷管領が統括していました。

戦国時代から江戸時代にかけては、根室半島を中心にチャシが築かれました。1615年から1621年頃には、メナシ地方のアイヌが松前藩と交易を行っていた記録があります。松前藩は根室国域にネモロ場所を開き、運上屋ではオムシャなど撫育政策が行われました。

国郡制定後

1869年、根室国に5郡が制定され、25村が属しました。1870年から1871年にかけては、東京府や寺院、士族などによって分領支配が行われました。1871年には根室出張開拓支庁が置かれ、1882年には根室県の所管となりました。1886年には、色丹島が色丹郡として千島国に編入されました。

地理

根室国の領域は、現在の北海道根室市（一部を除く）、野付郡別海町、標津郡標津町・中標津町、目梨郡羅臼町、色丹郡色丹村に相当します。

地名の由来

「子モロ」や「根諸」といった地名が文献に現れていますが、語源は不明です。松浦武四郎は、アイヌ語のニ・ムイ（木・湾）に由来すると比定しています。他にも、「ネムロコタン」（池のある集落）、「メム・オロ・ベツ」（泉池がある川）など諸説あります。

国内の施設

標津神社、金刀比羅神社、市杵島神社、野付神社、羅臼神社などがあります。金刀比羅神社の旧社格は県社です。

地域

根室国は、花咲郡、根室郡、野付郡、標津郡、目梨郡の5郡で構成されていました。花咲郡からは後に色丹郡が分立しました。

江戸時代の藩

松前藩が根室場所を領有していました。1859年から1868年には、仙台藩が根室に出張陣屋を、会津藩がシベツ表ホニコイ陣屋を置いていました。

分領支配時の藩

熊本藩、仙台藩などが分領支配を行っていました。その他、寺社領、徳島藩士領、東京府領がありました。

人口

1872年の調査では、人口は832人でした。1886年の根室県では、1万7千人に増加しました。

根室国の合戦

1789年には、クナシリ・メナシの戦い（寛政蝦夷蜂起）が勃発しました。

交通

江戸時代以前から明治時代初頭

東西を結ぶ陸路は、渡島国の箱館から千島国方面に至る道の途上にありました。万延元年には根室場所請負人藤野喜兵衛が幕命を受け、根室会所から厚別止宿所に至る道路が開削されました。文化年間には、斜里越も開削されました。

海上交通は、和人地や畿内、千島国などとの間に北前船の航路が開かれ、根室などにも寄港していました。

根室国