鈴木貞美

鈴木貞美

鈴木貞美（すずき さだみ、1947年9月22日生まれ）は、日本近代文学を専門とする著名な研究者です。国際日本文化研究センター（日文研）の名誉教授、および総合研究大学院大学の名誉教授という肩書きをお持ちです。彼の研究は、古典の評価の歴史を含めた、日本近現代文芸史の再構築に焦点を当てています。また、紫式部文学賞の選考委員も務めています。

来歴と業績

鈴木貞美は山口県で生まれました。1972年に東京大学文学部仏語仏文科を卒業。学生時代は東大全共闘革マル派に所属していました。1967年には「自由劇場」で銀杏並木賞を受賞。鈴木沙那美の名義で小説『身も心も』や文芸評論『転位する魂 梶井基次郎』などを発表しました。1985年に東洋大学文学部の専任講師となり、1988年に助教授、1989年には国際日本文化研究センターの助教授、1996年に教授に昇進しました。1997年3月には「梶井基次郎研究」で総合研究大学院大学から博士（学術）の学位を取得。2013年に日文研教授を定年退職し、名誉教授となりました。

社会活動にも積極的に参加しており、1991年には湾岸戦争への自衛隊派遣に抗議する文学者声明に、柄谷行人、中上健次、津島佑子、田中康夫らと共に名を連ねました。1997年には、彼の小説『身も心も』が荒井晴彦監督によって映画化され、『キネマ旬報』の日本映画ベストテンで8位に選ばれました。

著書一覧

鈴木貞美は、数多くの著作を発表しています。以下はその一部です。

『転位する魂　梶井基次郎』（社会思想社、1977）（鈴木沙那美名義）
『蟻』（冬樹社、1979）（鈴木沙那美名義の小説）
『谺』（河出書房新社、1985）（小説）
『言いだしかねて』（作品社、1986）（小説集）
『身も心も』（河出文庫、1997）（映画化に合わせて改題・再刊）
『人間の零度、もしくは表現の脱近代』（河出書房新社、1987）
『「昭和文学」のために フィクションの領略―鈴木貞美評論集』（思潮社、1989）
『モダン都市の表現―自己・幻想・女性』（白地社、1992）
『現代日本文学の思想―解体と再編のストラテジー』（五月書房、1992）
『日本の「文学」を考える』（角川選書、1994）
『「生命」で読む日本近代―大正生命主義の誕生と展開』（日本放送出版協会、1996）
『梶井基次郎 表現する魂』（新潮社、1996）
『日本の「文学」概念』（作品社、1998）
『梶井基次郎の世界』（作品社、2001）
『日本の文化ナショナリズム』（平凡社新書、2005）
『生命観の探究―重層する危機のなかで』（作品社、2007）
『日本人の生命観－神・恋・倫理』（中公新書、2008）
『自由の壁』（集英社新書、2009）
『「日本文学」の成立』（作品社、2009）
『戦後思想は日本を読みそこねてきた　近現代思想史再考』（平凡社新書、2009）
『「文藝春秋」とアジア太平洋戦争』（武田ランダムハウスジャパン、2010）
『「文藝春秋」の戦争: 戦前期リベラリズムの帰趨』（筑摩選書、2016）（上記の改訂増補版）
『日本語の「常識」を問う』（平凡社新書、2011）
『入門　日本近現代文芸史』（平凡社新書、2013）
『戦後文学の旗手・中村真一郎―「死の影の下に」五部作をめぐって』（水声社、2014）
『日本文学の論じ方―体系的研究法』（世界思想社、2014）
『近代の超克―その戦前・戦中・戦後』（作品社、2015）
『宮沢賢治―氾濫する生命』（左右社、2015）
『鴨長明　自由のこころ』（ちくま新書、2016）
『日記で読む日本文化史』（平凡社新書、2016）
『「日記」と「随筆」　日記で読む日本史19』（臨川書店、2016）
『『死者の書』の謎―折口信夫とその時代』（作品社、2017）
『日本人の自然観』（作品社、2019）
『歴史と生命―西田幾多郎の苦闘』（作品社、2020）
『満洲国　交錯するナショナリズム』（平凡社新書、2021）
『日露戦争の時代　日本文化の転換点』（平凡社新書、2023）
『ナラトロジーへ　物語論の転換、柳田國男考』（文化科学高等研究院出版局、2023）
『エクリチュールへ　明治期「言文一致」神話解体　三遊亭円朝考』（文化科学高等研究院出版局、2023）

外部リンク

鈴木 貞美|国際日本文化研究センター
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