鈴木越雄

鈴木越雄（すずき えつお）

鈴木越雄（1915年9月11日 - 1985年10月20日）は、昭和時代に活躍した日本の囲碁棋士です。久保松勝喜代名誉九段門下で、日本棋院と関西棋院に所属し、九段まで昇りつめました。旧名は憲章。

人物

鈴木越雄は、中央を重視する独特の棋風で知られていました。その碁は、時に奇抜とも評され、見る者を惹きつけました。自らの碁を「素人碁」と称し、「自分だけの碁を創りたい」と語るなど、独創的な碁を追求していました。

経歴

1931年：入段
1949年：第5期本因坊戦で挑戦者決定リーグ入り。中央を重視する棋風で注目を集めました。
1950年：関西棋院独立に参加。この頃、越雄に改名。
1962年：第2期名人戦リーグ入り（七段）。
1969年：八段に昇段。
1985年：逝去。追贈九段。

主な実績

第4期関西棋院選手権戦優勝
本因坊戦リーグ：1949年、1954年、1956年
名人戦（旧）リーグ：1962年

棋風

中央を重視する棋風で知られ、型にはまらない自由な発想で碁盤に向かっていました。特に、新手・奇手に対する探求心は人一倍強く、布石の段階から意表を突く手を放つこともありました。例えば、初手で五の九（辺の星の斜め上）に打つなど、固定観念に捉われない発想は、多くのファンを魅了しました。

1956年には、当時全盛を誇った呉清源に先番で対し、小目に肩ツキという大胆な打ち方で勝利を収めました。この碁は、鈴木の碁風を象徴する一局として、現在でも語り継がれています。

1956年11月13・14日 呉九段対新進戦（鈴木先番）

高目の2連打から、黒5と小目に肩ツキするという思い切った中央布石を披露。

以下黒29まで大模様を構築し、呉九段に完勝しました。

参考文献

坂田栄男『囲碁百年 3 実力主義の時代』平凡社、1969年
『現代囲碁大系16巻 鯛中新 鈴木越雄 窪内秀知 宮本直毅 本田邦久』講談社、1982年
高木祥一『天下の奇譜と奇手』日本棋院、1993年

もう一度検索