鈴木重遠

鈴木 重遠（すずき しげとお）

鈴木 重遠は、1828年12月25日に江戸で生まれ、1906年4月7日に亡くなった日本の武士であり政治家です。通称は七郎右衛門で、号は梁坡と称されました。彼は伊予松山藩士で、江戸幕府の動乱期において「藩中屈指ノ人物」として評価されました。

経歴

鈴木は伊予松山藩士の鈴木超勝の四男として生を受け、若いころから昌平坂学問所で漢学を学びました。黒船来航以降の時代背景の中で、蘭学を修め開国論を唱え、神奈川台場の築造にも関与するなど、時代の変革に積極的に関わりました。1846年には小姓に任じられ、1854年には父の死去に伴い家督を相続しました。

彼は藩内で奉行や側用人、さらには執政（家老職）として歴任し、幕末期の厳しい情勢にも対応し続けましたが、新政府への反発から1868年には閉居を命じられました。その後、赦免されると、藩の権大参事や公儀人、大参事として藩政改革に尽力しました。特に、小林信近や長屋忠明らと共に改革を進めたことで知られています。

廃藩置県の後、鈴木は官職を辞し、久米郡松瀬川村（現・東温市）に隠遁生活を送りました。しかし、1878年には海軍省の職に就き、横須賀造船所で勤務することになりました。1887年には退官し、旧藩主の久松家の家政を担当しました。

同年11月、旧藩主から国会開設への準備として旧松山藩士族の団結を促す内命を受け、帰郷して藤野政高、白川福儀らと共に大同団結運動を展開しました。1888年には愛媛県会議員に選出され、政治活動を再開しました。

鈴木は1890年に行われた第1回衆議院議員総選挙で、愛媛県第1区及び第4区で当選を果たし、その後も再選されて自由党に所属しました。しかし、政党内の人間関係が悪化すると、立憲革新党に転じ、進歩党との合流後には愛媛支部の責任者として活動しました。1896年には進歩党が第2次松方内閣の与党となったことを受けて離党し、愛媛同志会を結成しました。

彼は1898年には憲政党の創立に関与しましたが、入党することはありませんでした。その後も、繰り返される選挙で当選を果たしましたが、意見の対立から次第に政界の中心から外れ、不遇な晩年を迎えました。最終的には、衆議院議員として通算5期の任期を務めました。

晩年

鈴木の晩年は政界での影響力が薄まり、最終的には政界の主流から遠ざかっていきました。1906年4月7日に亡くなり、彼の墓所は松山市にある龍穏寺にあります。

著作

彼は1876年に『鼇頭日本史略』を編纂し、歴史の記録にも寄与しました。

参考文献

• - 山崎謙 編『衆議院議員列伝』衆議院議員列伝発行所、1901年。
• - 神奈川県県民部県史編集室 編『神奈川県史 別編1』人物 : 神奈川県歴史人名事典、神奈川県、1983年。
• - 『愛媛県百科大事典』下、愛媛新聞社、1985年。
• - 『愛媛県史 人物』愛媛県史編纂委員会、1989年。
• - 衆議院・参議院 編『議会制度百年史 - 衆議院議員名鑑』大蔵省印刷局、1990年。
• - 『朝日日本歴史人物事典』朝日新聞社、1994年。

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