鉄道労働組合

鉄道労働組合（鉄労）とは：国鉄時代の協調路線とその後

鉄道労働組合、通称「鉄労」は、かつて日本国有[[鉄道]]（国鉄）時代に存在した労働組合です。全日本労働総同盟（同盟）系の有力組合として知られ、ストライキを行わない労使協調路線を特徴としていました。

鉄労の結成

1957年、公共企業体等労働組合協議会（公労協）の処分撤回闘争において、国鉄労働組合（国労）新潟地方本部が抜き打ちストライキや幹部職員への吊るし上げ（新潟闘争）を起こし、事態が泥沼化しました。この出来事をきっかけに、新潟地本の急進的な闘争方針に批判的な非現業系の事務職員を中心に国労を脱退し、新たに国鉄新潟地方労働組合を結成。この動きは全国に広がり、職能別に新労組を組織化し、1961年9月17日に国鉄地方労組総連合会（国鉄地方総連）を結成するに至りました。

職能労連と地方総連は、国鉄当局との労使協調と全日本[[労働組合会議]]（全労）支持という共通点から、1962年11月30日に新国鉄労働組合連合（新国労）として統合。1968年10月20日に結成大会を開き、単一組織化され鉄道労働組合（鉄労）と改称しました。

国労・動労との対立激化

鉄労は、発足当初から経済主義・国鉄本局との協調主義を掲げ、政治主義的・戦闘的な国労や動労とは対照的な路線を歩みました。1970年代以降、国労・動労が国鉄当局側との対立を激化させる中で、鉄労はスト権ストへの参加を拒否し、国鉄当局にストライキ中の就労を申し出るなど、協調路線を貫きました。しかし、鉄労の行為をスト破りとみなした国労・動労との対立は深刻化し、ピケッティングや嫌がらせ、暴力事件なども発生しました。

国鉄分割民営化と鉄労

1980年代に入ると、国鉄分割民営化が現実的な動きとなり、鉄労は賛成姿勢を示しました。鉄労は、特殊法人への移行と「地域本社制」導入を唱えており、国鉄改革案を受け入れるものと見られていました。しかし、鉄労も最初から国鉄の分割・民営化に賛成していたわけではなく、国労や動労に打撃を与える側面に共感を持ち、協力をしたという側面もありました。

民社党は鉄労の協力のもと、国労をはじめとする他労組批判の質問を国会で行い、鉄労は『職場実態調査報告書』を作成し、第二次臨時行政調査会のヒアリングに際して提出するなど、国鉄分割民営化を推進しました。

1987年2月2日に鉄労は動労や全施労などと合同して「国鉄改革労働組合協議会」を設置。国鉄分割民営化後は全日本[[鉄道労働組合総連合会]]（鉄道総連・JR総連）を結成し、初代会長には鉄労出身の志摩好達が就任しました。

国鉄分割民営化以後

鉄労出身者はJRへの採用で優遇された一方、鉄道総連・JR総連内で動労出身者と鉄労出身者による主導権争いが起きたことから、鉄労系のJR西労組・JR四国労組・JR九州労組の3組合はJR総連を離脱。国労から分裂した日本鉄道産業労働組合総連合（鉄産総連）系の組合と合流して、1992年5月18日に日本鉄道労働組合連合会（JR連合）を結成しました。

現在、JRグループの労働組合で最大の組織力を持つのはJR連合となっています。

もう一度検索