鎮西清高

鎮西清高：日本の地質学・古生物学を牽引した偉大な学者

鎮西清高（ちんぜい きよたか）は、1933年12月6日に生まれ、2023年7月27日に逝去された、日本の著名な地質学者・古生物学者です。京都大学と大阪学院大学の名誉教授を歴任し、特に軟体動物化石の古生態研究、そして日本列島の地史解明において多大な貢献をされました。その功績は、国内外の学会からも高く評価されています。

生い立ちと学歴

長野県下伊那郡下條村に生まれた鎮西清高は、1956年に横浜国立大学学芸学部（現在の教育学部）を卒業。その後、東京大学大学院に進学し、数物系研究科地質学専攻の博士課程を修了しました。1961年には、学位論文「馬渕川谷新第三系の地質学的及び古群集生態学的研究」で東京大学より理学博士の学位を取得されています。

研究活動と業績

鎮西清高は、近代古生態学の開拓者の一人として知られています。特に、化石群集の古生態を考察する上で重要な概念である「時代的相同」を発見しました。この発見によって、異なる時代の群集構造を比較することが可能となり、日本の新第三紀の貝化石群の変遷を体系的に解明することに大きく貢献しました。

また、鎮西清高は、テチス海に生息していた下部ジュラ系産の正体不明の化石が、翼形類の固着性二枚貝であることを突き止め、その機能形態を詳細に論じました。さらに、日本の白亜系で発見された極端に細長い化石カキについても、その形態や貝殻構造を詳細に記述し、その生態を解明しています。泥底に適応したカキなどの固着性二枚貝についても、機能形態と進化に関する研究を行いました。

学術活動と社会貢献

鎮西清高は、研究活動だけでなく、学術活動にも積極的に取り組みました。日本古生物学会および日本第四紀学会の会長を歴任し、学会の発展に尽力しました。また、京都大学総合博物館の設立にも大きく貢献されています。

さらに、地球物理学者の上田誠也や惑星科学者の松井孝典らと共に、NHKの『地球大紀行』の制作に携わりました。鎮西は、この番組の単行本において、見返しデータの作成、取材協力、写真・資料提供、そして付録の執筆を担当しました。

受賞歴と主な著作

鎮西清高の研究業績は数々の賞に輝いています。

1968年: 日本古生物学会論文賞
1972年: 日本古生物学会学術賞
2002年: 日本古生物学会賞（横山賞）
2009年: 日本地質学会論文賞
2014年: 日本地球惑星科学連合フェロー


主な編著書・訳書には、以下のものがあります。

ラウプ・スタンレー（著）花井哲郎・速水格・小西健二・鎮西清高（訳）「古生物学の基礎」、どうぶつ社、1985年。
勘米良亀齢・鎮西清高・水谷伸治郎（編）「地球表層の物質と環境」（地球科学選書）、岩波書店、1991年。
貝塚爽平・鎮西清高・小疇尚・五百沢智也・松田時彦・藤田和夫（著）「新版－日本の自然 (2) 日本の山」、岩波書店、1995年。
米倉伸之・野上道男・貝塚爽平・鎮西清高（編）「日本の地形 (1) 総説」、東京大学出版会、2001年。
小池一之・鎮西清高・田村俊和・宮城豊彦（編）「日本の地形 (3) 東北」、東京大学出版会、2005年。
アームストロング他（著）池谷仙之・鎮西清高（訳）「微化石の科学」、朝倉書店、2007年。
セルダン他（著）鎮西清高（訳）「世界の化石遺産－化石生態系の進化」、朝倉書店、2009年。
太田陽子・鎮西清高・野上道男・松田時彦・町田洋・小池一之（著）「日本列島の地形学」、東京大学出版会、2010年。
鎮西清高・植村和彦（編）「古生物の科学 (5) 地球環境と生命史」、朝倉書店、2011年。

人物

鎮西清高は、その卓越した研究能力と温厚な人柄で、多くの人々に慕われました。教育者としても優れており、多くの後進を育成しました。

親族

鎮西清高の妻の実家は、岩崎家であり、三菱財閥の創業者である岩崎弥太郎を曽祖父に持ちます。また、妻の兄に岩崎泰頴、又従兄に岩崎寛弥がいます。

関連リンク

京都大学総合博物館 ニュースレターNo. 6 - 鎮西が執筆した「自然史博物館計画のころ」
大阪学院大学/「鎮西清高 教授」退職記念講義
nkysdb: 鎮西 清高（なかよし論文データベース）
nkysdb: CHINZEI Kiyotaka（なかよし論文データベース）

鎮西清高は、日本の地質学・古生物学の発展に大きく貢献した偉大な学者として、その功績は後世に語り継がれるでしょう。

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