鏡山城の戦い

鏡山城の戦い

鏡山城の戦いは、戦国時代の1523年、安芸国西条（現在の東広島市）の鏡山城で繰り広げられた、尼子氏と大内氏による激しい攻防戦です。この戦いは、両氏の勢力拡大の野望が交錯する中で勃発し、その後の戦国時代の趨勢に大きな影響を与えました。

戦いの背景

鏡山城は、安芸国を支配しようとする大内氏が、15世紀後半に築城した山城です。大内氏は、この城を安芸国支配の拠点としていました。1522年、大内義興は陶興房を総大将として安芸国へ派遣し、勢力拡大を図ります。しかし、安芸武田氏の抵抗にあい、目立った戦果を挙げることができませんでした。

一方、出雲の戦国大名である尼子経久は、大内義興が九州へ出陣している隙を突き、安芸国への侵攻を開始します。尼子氏は、傘下の安芸国人衆とともに、鏡山城攻略を目指して西条へ進軍しました。当時、吉川氏や毛利氏も尼子氏の傘下に入っていました。

戦いの経過

1523年6月13日、毛利元就は、幼い当主・毛利幸松丸の後見人として、吉川国経らと共に約4,000の兵を率いて鏡山城攻めを開始しました。対する大内方は、蔵田房信とその叔父である蔵田直信が守備していました。房信は、尼子軍の侵入を許さず、戦況は膠着状態に陥ります。

そこで元就は、蔵田直信を寝返らせる策略を立てます。直信に蔵田家の家督を継がせることを条件に、彼を味方に引き入れ、直信が守備する二の丸に尼子軍を侵入させました。これにより、城内は大混乱に陥り、城将である房信は本丸に籠もって抵抗を続けますが、一昼夜の激戦の末、6月28日に鏡山城は落城しました。房信は、妻子と城兵の助命を条件に自害しました。

落城後、尼子経久は房信の助命要求を認めましたが、寝返った直信を処刑しました。元就は、この裏切り行為に強い不信感を抱き、尼子氏からの恩賞もなかったことから、両者の関係は悪化します。この戦いを通じて、経久は元就を警戒し、元就は経久に対して不信感を募らせることとなりました。

戦後

鏡山城の戦い後、尼子経久は毛利氏の勢力拡大を警戒し、1523年に毛利家当主の幸松丸が病死した際には、家臣の亀井秀綱を通じて毛利家の家督相続に介入を試みます。尼子氏は元就の弟である相合元綱を擁立しようとしましたが、元就が機先を制して元綱とその支持派を粛清し、家督を継承しました。これにより、尼子氏の介入は失敗に終わります。

1525年、大内氏は安芸国での勢力回復を目指し、攻勢に転じます。毛利元就は、これまでの尼子氏との関係を解消し、大内氏の傘下に入ります。毛利氏は、陶興房率いる大内軍の米山城攻めに参加し、天野興定らの降伏を仲介しました。その後、大内軍は鏡山城を奪還し、安芸国における尼子氏の勢力は衰退しました。

鏡山城は、要害の地ではなかったため、大内氏は新たに曽場ヶ城を築き、その後には槌山城を築いて安芸国における本拠としました。これにより、鏡山城は廃城となりました。


この戦いは、毛利元就の策略家としての才能を示すとともに、その後の毛利氏の独立と発展へと繋がる重要な戦いとなりました。

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