長崎のマグダレナ

長崎のマグダレナは、17世紀初頭の江戸時代に生きた、信仰深いキリシタンの女性です。彼女はドミニコ会第三会の修道女として、その短い生涯を神に捧げました。1987年には、聖トマス西と15殉教者の一人として、日本人女性として初めてカトリック教会の聖人に列せられ、その信仰と勇気は今日まで語り継がれています。

マグダレナは1610年、長崎近郊の村で生まれました。両親は熱心なキリシタンであり、後に殉教したと伝えられています。しかし、彼女の日本名や幼少期の詳しい記録は残されておらず、生年、生誕地、洗礼名のみが知られています。

彼女は初め、聖アウグスチノ修道会の司祭から指導を受けていましたが、後にドミニコ会の司祭ジョルダーノ・アンサローネの指導を受けるようになります。その中で、マグダレナは自らの身を神に捧げることを決意し、第三会に入会しました。1632年頃に誓願を立てましたが、修練が終わる前にアンサローネ神父が逮捕されてしまいます。

1634年9月、マグダレナは自ら奉行所に出頭し、キリシタンの修道女であることを告白しました。彼女の美貌に目をつけた役人は、棄教すれば良い結婚ができると勧めましたが、彼女はそれを拒否し、激しい拷問に耐えました。しかし、信仰を捨てることは決してありませんでした。役人たちは、彼女の固い意志に業を煮やし、同年10月、西坂にてマグダレナを女性として初めて穴吊りの刑に処しました。逆さに吊るされた彼女は、目や口、鼻や耳から出血し、13日以上も苦痛に耐え続けたと伝えられています。

しかし、役人たちはそれで諦めず、吊るされたままの彼女を穴の底に何度も落とし、頭を打ち付け半殺しにしました。その夜、雨が降り穴に水が満ちたため、マグダレナは溺死し、10月15日の朝、殉教者として列に加えられました。彼女の遺体は、信者に聖遺物が残らないよう焼かれて灰にされ、分散されました。この過酷な状況にも関わらず信仰を貫いた彼女の姿は、多くの信徒に勇気を与えました。

1981年、マグダレナは殉教と英雄的な聖徳を称えられ、ローマ教皇ヨハネ・パウロ2世によって、アンサローネ神父らと共にマニラで列福されました。そして1987年、ついにローマで列聖を果たし、聖人としての地位を確立しました。彼女の信仰、勇気、そして犠牲は、カトリック教会だけでなく、多くの人々に影響を与え続けています。マグダレナの物語は、信仰を貫くことの尊さを現代に伝えています。

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