長氏

長氏の歴史と重要な人物

概要

長氏（ちょうし）は、日本の武家・士族・華族の一つで、特に能登の国人領主として知られています。この氏族は能登畠山氏の家臣であり、また加賀八家の一つでもあります。明治維新以降は士族から華族の男爵にも列した長氏の歴史は、鎌倉時代から始まり、室町、戦国、江戸時代を経て近代に至るまで多岐にわたっています。

来歴

鎌倉時代

長氏の起源は鎌倉時代にさかのぼります。氏の元になる「長谷部」は、鎌倉幕府の御家人として活躍した長谷部信連によるものです。信連は幕府から能登国大屋荘を与えられ、その土地を支配する権利を手に入れました。彼の子孫は「長」の姓に改名し、長氏を名乗るようになりました。鎌倉時代の末期には、足利氏の家人としても知られ、『鎌倉遺文』に名が記されています。

室町・戦国時代

室町時代に入ると、長氏は能登畠山氏の家臣として仕官しました。この時期に特に著名な人物は、第19代当主の長続連、さらにその息子で第20代当主の長綱連、第21代当主の長連龍などの一族です。続連はもともと平加賀秀連の次男でありましたが、17代当主・長英連の養子として長氏を継承しました。彼は畠山義続の下で畠山七人衆の一員となり、能登の中でも重要な役割を果たしました。

織田信長の勢力が能登に攻めてくると、長続連は信長と連携を図り、上杉謙信と対峙しました。天正4年（1576年）の七尾城の戦いでは、続連の指揮のもと一度は謙信の攻撃を撃退しましたが、翌年には再度の侵攻を受け、疫病の流行や内通者の裏切りによって長氏は苦境に立たされました。この時、続連や綱連を含む一族の大半が命を落としました。

生き残ったのは、続連の次男・長連龍と、綱連の末子で難を逃れた長菊松丸です。連龍は後に長氏の家督を継ぎ、信長の家臣として再び威光を放ちました。信長の死後は前田利家に仕官し、加賀前田家に従属しました。

江戸時代

長氏は前田家に仕えるようになったものの、鹿島郡の一部を領有し、大名のような地位を保ちました。しかし、連龍の曾孫の尚連の時代にお家騒動が起こり、前田綱紀は長氏の領有権を剥奪し、長氏は金沢の重臣として存在を続けました。

明治維新後

明治維新後、長氏は士族として再編成され、1884年に施行された華族制度において男爵の候補にも挙げられました。最終的には1900年に長克連が華族の男爵に叙せられています。

克連の跡を継いだ基連は貴族院の男爵議員として活動し、彼の時代には東京の麻布区に邸宅を構えました。2013年には34代当主の長昭連が穴水町の名誉町民として表彰されました。

系譜

長氏は日本の歴史の中で重要な役割を果たしてきた氏族であり、その系譜は日本の武士階級や士族としての変遷を象徴しています。彼らの歴史は、複雑でありながらも興味深いもので、多くの歴史的出来事に関与してきました。

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