畠山七人衆

畠山七人衆とは

畠山七人衆とは、戦国時代の能登畠山氏（七尾畠山氏）において、実質的な政治権力を握った7人の重臣たちによる合議制の政治組織、およびそのメンバーを指します。特に、筆頭格の温井総貞と守護代の遊佐続光が中心となっていました。

成立の背景

能登畠山氏は、7代当主・畠山義総の時代に最盛期を迎えましたが、義総の死後、有力な重臣たちが台頭し、合議制によって政治を行うようになりました。8代当主・畠山義続は、七人衆の傀儡に過ぎず、実質的な権力は温井総貞ら七人衆が握っていました。

七人衆の変遷

畠山七人衆は、時代によって構成メンバーが変化しています。

第一次畠山七人衆（1552年 - 1553年）
伊丹総堅
平総知
長続連
温井総貞
三宅総広
遊佐宗円
遊佐続光

第二次畠山七人衆（1553年 - 1555年）
飯川光誠
神保総誠
長続連
温井続宗（総貞の子）
三宅総広
三宅綱賢（初名:総賢）
遊佐宗円

温井総貞と遊佐続光の対立

七人衆の中でも、特に権勢を誇ったのが温井総貞と遊佐続光でした。遊佐氏はもともと守護代として勢力を持っていましたが、温井総貞は文芸の知識を買われて、筆頭家老にまで昇りつめました。両者の権力闘争は激化し、9代当主・畠山義綱の時代には、温井総貞が遊佐続光を追放する事態に発展しました（大槻一宮合戦）。

七人衆体制の崩壊と永禄九年の政変

畠山義綱は、父・義続と共に温井総貞を暗殺し、権力奪取を図りました。しかし、温井氏と親しい三宅氏が加賀の一向衆と結託して反乱を起こします（弘治の内乱）。義綱はこれを鎮圧し、温井氏と三宅氏を追放することで、大名としての権力を確立しました。温井総貞の死後、遊佐続光も復帰しますが、義綱は重臣たちの力を削ぎ、七人衆体制は終焉を迎えます。

しかし、1566年には、長続連と遊佐続光が武装蜂起し、義綱は父・義続とともに追放されてしまいます（永禄九年の政変）。その後、長続連と遊佐続光は、温井・三宅両氏を迎え入れ、再び七人衆のような重臣たちによる政治を始めました。その後、当主は幼君が擁立され、傀儡政権が続きましたが、10代当主・畠山義慶、11代当主・畠山義隆は短命で終わり、遊佐らによって暗殺されたという説もあります。

遊佐続光と長続連の対立

長続連の勢力が拡大するにつれて、筆頭の遊佐続光は、かつての敵であった温井景隆と結び、長続連に対抗するようになります。また、越前方面から織田信長の勢力が拡大してくると、長続連は織田氏に接近し、上杉氏寄りの遊佐続光とは対立を深めます。この時期、畠山家は上杉氏につくか、織田氏につくかで大きく揺れていました。最終的に、長続連が擁立した畠山春王丸の政策によって上杉氏と対立し、上杉謙信は畠山氏の居城である七尾城へ侵攻を開始します（七尾城の戦い）。

長続連は織田氏に援軍を求め、籠城策を取りますが、遊佐続光と温井景隆による裏切りによって七尾城は陥落し、長続連一族は皆殺しにされました。織田信長の命で救援に向かった柴田勝家も間に合わず、手取川の戦いで上杉軍に敗北しました。

畠山家滅亡後

七尾城の戦いによって能登畠山氏は滅亡し、遊佐続光が能登の実権を握ります。しかし、謙信の死後、織田氏は長連龍を擁して七尾城を攻略し、投降した遊佐続光親子を処刑しました。その後、能登は柴田勝家の支配下に入り、長連龍は柴田氏の与力として生き残り、柴田氏の滅亡後は、加賀前田氏の重臣として命脈を保ちました。

まとめ

畠山七人衆は、能登畠山氏の衰退期に権力を握った重臣たちであり、彼らの対立と権力闘争は、能登畠山氏の滅亡を招いた大きな要因の一つでした。特に、温井総貞と遊佐続光の対立は、七尾城の戦いという悲劇を生み出すことになったのです。

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