畠山義続

畠山義続の生涯

畠山義続は、能登畠山氏の第7代当主・畠山義総の次男として生まれました。兄の早世により後継者となり、能登国の守護職を継承します。しかし、義続の時代は家臣団の権力争いが激化し、大名としての統率力を十分に発揮することができませんでした。

越中国での紛争では、畠山氏の依頼で調停のために家臣を派遣するなど、外交面での活動も見られます。一時は畠山宗家を継ぐという話も出ましたが、父の死後、能登国守護職を継ぎました。

1547年、叔父である畠山駿河が一向一揆の協力を得て能登に侵攻しますが、この戦い（押水の合戦）をきっかけに、重臣たちの権力争いが表面化します。

1550年には、重臣である遊佐続光と温井総貞の対立によって七尾城の一部が焼失するなど、混乱が続きました。この状況下で、家臣団は「畠山七人衆」という組織を作り、大名権力を傀儡化していきます。1551年、義続は一連の騒乱の責任を取り、嫡男の畠山義綱に家督を譲って隠居します。しかし、その後も後見人として政治に関与しました。

1555年には、義続は温井総貞を誅殺し、一時的に大名権力を回復させます。しかし、その後の権力強化策が重臣たちの反発を招き、1566年、孫の畠山義慶が擁立されると、義続は息子の義綱と共に国外へ追放されてしまいます（永禄九年の政変）。

追放後、義続は縁戚関係にあった六角氏を頼り近江坂本へ逃れます。1568年には能登への復帰を目指して挙兵しますが、失敗に終わります。その後、1590年に死去しました。

偏諱を与えた家臣たち

畠山義続は、多くの家臣に「続」の字を与えています。確認できるだけでも、以下のような人物がいます。

伊丹続堅
隠岐続朝
熊木続兼
河野続秀
平 続重
長 続連
三宅続長
温井続宗
温井続基
遊佐続光

これらの家臣たちは、義続の時代に能登畠山氏を支えた重要な人物たちです。

肖像画の像主問題

高野山成慶院に所蔵されている長谷川等伯筆の「絹本著色武田信玄画像」とされている肖像画は、実は畠山義続を描いたものではないかという説が近年浮上しています。この説を提唱した藤本正行氏は、肖像画に武田菱の家紋がないことや、信玄が出家後に肖像を残さなかったことなどを根拠に挙げています。また、等伯と能登にゆかりがある点も、この説を補強する要素とされています。

しかし、この肖像画には髷があるため、若くして剃髪した義続を描いたものとは考えにくいという反論もあります。また、同じく長谷川等伯が描いた「法華経本尊絵曼荼羅」には、剃髪姿の義続と思われる「徳祐」が描かれており、成慶院の肖像画とは全く似ていないという点も、議論を複雑化させています。

これらのことから、肖像画の像主問題は、依然として結論が出ていない状況です。

まとめ

畠山義続は、能登畠山氏の当主として、激動の戦国時代を生き抜きました。家臣団の権力争いに翻弄されながらも、大名権力の回復を目指して奮闘しました。その生涯は、戦国大名の苦悩と波乱に満ちており、歴史ファンにとっては興味深い人物の一人と言えるでしょう。

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