長良川鉄道越美南線

越美南線

越美南線は、岐阜県美濃加茂市の美濃太田駅から郡上市の北濃駅に至る、長良川鉄道が運営する鉄道路線です。全長72.1kmの単線非電化路線で、長良川に沿って走り、美しい景色を楽しめるのが特徴です。

歴史

この路線は、もともと日本国有鉄道（国鉄）の越美線の一部として建設されました。越美線は、岐阜県と福井県を結ぶ計画でしたが、全線開通には至りませんでした。岐阜県側の区間が越美南線、福井県側の区間が越美北線としてそれぞれ運営されました。国鉄分割民営化に伴い、越美北線はJR西日本に承継されましたが、越美南線は特定地方交通線に指定され、1986年に長良川鉄道へと引き継がれました。

運行形態

現在、越美南線では美濃太田駅と美濃白鳥駅、北濃駅を結ぶ直通列車が運行されています。また、区間運転として美濃太田駅から関駅、美濃市駅、湯の洞温泉口駅、郡上八幡駅まで運行される列車もあります。朝夕には美濃白鳥駅と北濃駅の間で区間運転が行われています。1日あたりの列車本数は24往復以上と、国鉄時代よりも増加しています。観光列車「ながら」も人気があり、沿線の食材を使った料理を楽しみながら、景色を眺めることができます。

ゆら～り眺めて清流列車

全線運行の列車の中には、「ゆら～り眺めて清流列車」という全席自由席の列車があります。この列車は、沿線の景観スポットで停車するサービスを提供しており、よりゆっくりと景色を楽しみたい方におすすめです。

貸切運行

また、普通運賃35人分の金額で、旅客車1両を貸切ることもできます。事前に申し込みをすることで、通常運行の列車に1両が増結され、貸切の車両として利用できます。グループ旅行やイベントでの利用に便利です。

駅

越美南線には38の駅があります。そのうち、いくつかの駅は長良川鉄道への転換後に新設されました。関駅 - 美濃市駅間は、並行していた名鉄美濃町線の廃止に伴い、その代替として駅が追加されました。

主な駅:

美濃太田駅
関駅
美濃市駅
郡上八幡駅
美濃白鳥駅
北濃駅

トロッコ列車

1992年から2003年まで、越美南線ではトロッコ列車が運行されていました。この列車は、眺望の良い区間を走るため人気がありましたが、2003年に機関車が脱線事故を起こし、運行が休止されました。

災害による不通

越美南線は山間部を走るため、台風や豪雨などの災害により、しばしば長期間の不通となることがあります。これまでにも、伊勢湾[[台風]]や豪雨、積雪などにより、何度も不通区間が発生しました。近年では、2018年の豪雨により大きな被害を受けましたが、現在は復旧しています。災害による不通は、地域住民の生活に大きな影響を与えるため、早期の復旧が求められます。

沿線の観光

越美南線の沿線には、郡上おどりや白鳥おどりといった有名な観光資源があります。特に、お盆の期間中は、徹夜踊りが行われるため、多くの観光客が訪れます。この期間中は、臨時ダイヤが組まれ、多くの人が鉄道を利用します。

利用状況

長良川鉄道への転換後、輸送人員や収入は、変動を繰り返しています。特に観光列車の導入や沿線地域との連携により、近年では利用促進の取り組みが行われています。

その他の情報

全線単線
全線非電化
自動閉塞式とスタフ閉塞式を採用
最高速度は80km/h
車内にはトイレがなく、一部駅で数分間停車
夜間滞泊は関駅と美濃白鳥駅のみ

今後の展望

越美南線は、地域の足としてだけでなく、観光資源としても重要な役割を担っています。今後も、地域と連携しながら、より魅力的な路線となるよう、様々な取り組みが行われることが期待されます。

参考文献

郷土出版社『ふるさと長良川鉄道 - 越美南線70年の歩み』
曽根悟（監修）『週刊 歴史でめぐる鉄道全路線 公営鉄道・私鉄 26号 長良川鉄道・明知鉄道・樽見鉄道・三岐鉄道・伊勢鉄道』朝日新聞出版、2011年9月18日

もう一度検索