長野県北部地震 (2011年)

長野県北部地震（2011年）

2011年3月12日午前3時59分頃、長野県北部と新潟県中越地方にまたがる地域で、マグニチュード6.7、最大震度6強を観測する地震が発生しました。震源は長野県下水内郡栄村と新潟県中魚沼郡津南町の県境付近で、逆断層型の内陸地殻内地震でした。この地震は、新潟・長野県境地震、信越地震とも呼ばれ、特に被害が大きかった栄村では「栄村地震」「栄村大震災」と呼ばれることもあります。

地震の概要

発震機構は北西-南東方向に圧力軸を持つ逆断層型であり、地殻内の浅い場所で発生した大陸プレート内地震です。本震後2時間以内にM5以上の余震が2回発生しました。余震の分布域は本震を中心として北北東-南南西方向に約17km、深さ4kmから10kmの範囲に集中していました。この地域は十日町断層帯と信濃川断層帯の中間に位置し、既知の活断層の活動ではないとされています。ただし、断層の方向を正断層と考える研究もあります。

また、4月12日には、3月12日の震央から南に20km離れた地点でM5.6、震源の深さ0km、最大震度5弱の地震が発生しており、これは北北西-南南東圧縮の横ずれ断層型で、別の断層の活動と考えられています。

この地震は、2004年の新潟県中越地震と1847年の善光寺地震の震源域の中間付近に存在していた新潟-神戸歪集中帯の空白域を埋めるもので、以前から発生が予測されていました。さらに、本地震および一連の余震の約50%が潮汐と相関があるという特徴もみられました。

前日に発生した東日本大震災の被害状況が不明な状況下で発生したため、国民に大きな衝撃を与えました。

地殻変動と震度

新潟県十日町市松之山観測点では、北東に39cmの地殻変動が観測されました。震動に伴う斜面の崩落や地滑りは規模の割に少なかったものの、2-3mの積雪が地滑りを抑制したと考えられています。

震度5弱以上を観測した地域は以下の通りです。

震度6強: 長野県栄村
震度5強: 新潟県津南町、十日町市
震度5弱: 長野県飯山市、木島平村、新潟県上越市

東北地方から近畿地方にかけて震度1から4の揺れが観測され、栄村北信では計測震度6.4（最大加速度1250.9ガル）を記録しました。気象庁の推計震度分布図によると、長野県と新潟県の県境において、比較的広い範囲で震度7相当の揺れがあったとみられています。

他の地震との関連

本地震は東日本大震災の翌日に発生したもので、活断層による内陸直下型地震が海溝型の巨大地震に誘発されて起きた遠方誘発地震と考えられています。また、3日後には静岡県東部地震も発生しています。

同年6月30日には長野県中部（松本市付近）でM5.4、最大震度5強の地震が発生しましたが、これは長野県北部地震の余震ではなく、東日本大震災の遠方誘発地震と考えられています。

主な被害

長野県栄村の被害総額（住宅を除く）は55億円、新潟県の公共土木施設の被害額は37億円に達しました。

交通機関への影響

飯山線: 土砂崩れにより路盤崩落が発生し、一部区間で運転見合わせ。
国道117号: 橋梁損傷や路面損傷が多数発生し、通行止め。
国道405号、353号: 雪崩や落石により通行止め。
* 県道: 橋梁損傷、道路崩壊、路肩崩壊が多数発生。

人的被害

栄村で3名が地震後の避難生活中に災害関連死と認定されました。負傷者は新潟県内で31名、長野県内で15名でした。秋山地区を除く栄村全域に避難指示が出され、一時約1700名が避難しました。秋山地区では道路が寸断され、約300名が一時孤立しました。

その他、地震動による雪崩で家屋が全壊・半壊し、栄村のほぼ全域で断水が発生しました。

復旧・復興

栄村では災害対策本部が設置され、自衛隊や消防による救助活動、物資の支援が行われました。4月には長野県による生活再建支援本部が設置され、仮設住宅の建設が進められました。2012年には森宮野原駅前にスーパーマーケットが開業し、2016年には栄村震災復興祈念館が開館しました。

法的措置

激甚災害法指定、災害救助法適用、被災者生活再建支援法適用などの措置が講じられました。

長野県北部地震は、東日本大震災の直後に発生した複合災害であり、被災地に大きな爪痕を残しました。しかし、多くの支援と人々の努力により、復興への歩みが着実に進められています。

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