長野県道36号信濃信州新線

長野県道36号信濃信州新線

長野県道36号信濃信州新線は、長野県上水内郡信濃町を起点とし、長野市信州新町に至る主要地方道です。この道路は、長野市街を大きく迂回するように山間部を通過するルートを取っています。沿線には、黒姫や戸隠といった観光地があり、変化に富んだ景色が楽しめます。

沿線の特徴

黒姫 - 戸隠

国道18号から戸隠方面へ向かう区間は、観光ルートとして利用されています。千曲川の支流である鳥居川と並行しながら高度を上げていき、戸隠神社や戸隠そばの店が立ち並ぶ賑やかな場所を通ります。戸隠神社前郵便局前からは、戸隠バードラインに接続します。

この区間は、2008年現在では1.5車線から3車線程度の道幅がありますが、1970年代前半までは未舗装で道幅も狭く、大型車両同士のすれ違いが困難でした。1972年には、路線バスがダンプカーとのすれ違いに失敗し、鳥居川に転落する事故が発生し、多くの死傷者を出す大惨事となりました。この事故を契機に、道路の安全対策が強化されました。現在では、事故現場付近の道路も拡幅・舗装され、安全に通行できるようになっています。

戸隠 - 鬼無里

戸隠神社前郵便局前から鬼無里方面へは、一転して山道となります。一部離合困難な1車線区間や急カーブが連続する道が続き、大望峠を登ります。峠の頂上付近は切り通しになっており、展望台からは周囲の景色を一望できます。峠を越えると鬼無里に入ります。

峠から川沿いに谷を下る区間は、地元住民の生活道路としても利用されています。そのため、車のすれ違いが頻繁に発生します。下りきった場所には、国道406号の鬼無里交差点があり、鬼無里の中心街となります。この付近には、商店やコンビニ、郵便局などがあります。

鬼無里 - 小川村 - 信州新町

鬼無里交差点から約200メートルは国道406号との重複区間です。長野市鬼無里支所の前で右折し、裾花川を渡ると、大洞峠へと向かう上り坂になります。この付近では、1973年に大規模な地すべりが発生し、県道の一部が失われました。現在は、この地点を迂回するルートが使用されています。峠を越えると小川村に入ります。

歴史

県道36号のルーツは、江戸時代に使われていた「戸隠往来」と「高府往来」に遡ります。これらの道は、人々の生活や物資の輸送に重要な役割を果たしていました。

戸隠往来

戸隠往来は、北国街道の柏原宿から戸隠を経て鬼無里に至る街道です。かつては、飯縄山の南麓を通る「表通り」と、北麓を通る「裏通り」の2つのルートがありました。現在の県道36号は、このうち「裏通り」に相当します。

戸隠や鬼無里は、山間部に位置するため、物資の入手が困難でした。塩などの生活必需品は、柏原宿を経由して運ばれていました。冬期になると通行が困難になるため、冬の前に大量の物資を買い付ける必要がありました。しかし、戸隠往来の整備により、冬期でも物資の輸送が可能になり、地域住民の生活は大きく改善されました。

高府往来

高府往来は、鬼無里から大洞峠を越えて小川に至り、さらに高府までを結ぶ街道です。この道は、山間部の東西を結ぶ重要なルートとして、明治期に大改修が行われました。

高府信濃線

戸隠線と南小川線は、1935年に県道に昇格しました。その後、1959年に「高府信濃線」と改称され、1962年にはバスが通行できるようになりました。

信濃信州新線

1970年代に入ると、高府信濃線に加えて、小川村と旧信州新町を結ぶ路線などを合わせて、主要地方道「信濃信州新線」となりました。

路線データ

起点: 上水内郡信濃町
終点: 長野市信州新町
重要な経過地: 上水内郡小川村
実延長: 53.8011km

重複区間

国道406号（鬼無里交差点・長野市鬼無里支所前間）
長野県道31号長野大町線（高府交差点・上水内郡小川村高府三貫地付近間）

交差・接続する道路

国道18号
長野県道363号黒姫停車場線
長野県道37号長野信濃線
長野県道404号栃原北郷信濃線
長野県道76号長野戸隠線
国道406号
長野県道401号小川長野線
長野県道31号長野大町線
長野県道475号信州新中条線
国道19号

周辺施設

一茶記念館
黒姫駅
戸隠森林植物園
戸隠キャンプ場
戸隠神社
長野市役所鬼無里支所
小川天文台
小川村役場
* 琅鶴湖

県道36号は、歴史的な街道の面影を残しつつ、変化に富んだ風景を楽しめる道路です。観光だけでなく、地域の生活を支える重要な道として、今日も多くの人々に利用されています。

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