開口神社

開口神社について

開口神社（あぐちじんじゃ）は、大阪府堺市堺区に所在し、通称「大寺」として地元の人々に親しまれています。この神社は、堺南組（大小路以南）の氏神社であり、歴史ある式内社で、旧社格は府社として知られています。特筆すべきは、与謝野晶子の生誕地である堺において、「晶子恋歌みくじ」が用意されている点です。

歴史

開口神社の起源は古く、社伝によると神功皇后が三韓征伐からの帰途に、この地に塩土老翁神を祀れとの勅願に従い創建されたと伝えられています。延喜式神名帳にも名を連ね、和泉国大鳥郡の一社として「アキクチ」と呼ばれていましたが、現在の「アグチ」はその訛りに由来します。

また、開口神社は摂津国の住吉大社とも深い関係があり、天平3年（731年）には「開口水門姫神社」として記録されています。794年頃には、行基によって境内に密乗山念仏寺が設立され、その後の神仏習合によって神宮寺となりました。平安時代には、空海の影響で念仏寺が真言宗の寺院へと変わり、また、空也とも関係があったため、念仏寺は浄土教と密教の道場としても栄えました。

承平2年（932年）には神階が正五位上に昇格するなど、開口神社は政治的にも重要な役割を果たし、古代から中世にかけてその地域は「開口村」と称されていました。1113年には、「開口三村大明神」として、合祀される神々が増え、より一層の崇敬を集めるようになりました。

商業港として発展する堺において、商人たちの自治が進む中、開口神社も商人勢力の支えを受けるようになりました。1389年には豪商である野遠屋周阿弥が田地を寄付し、その後も寄進が続きました。1425年には朝廷の祈願所となり、1427年には室町幕府の祈願所としても認められました。

江戸時代に入ると、神仏分離令によって念仏寺は廃寺となるものの、1663年に建てられた三重塔が残され、1873年には郷社、1902年には府社に昇格します。しかし、1945年の大阪大空襲により本殿や三重塔は失われましたが、1961年に再建され、現在の社殿が形成されました。

祭神

主祭神である塩土老翁神は、住吉の奥の院とも呼ばれ、住吉大社の住吉三神の徳を集めた神とされています。また、素盞嗚神と生国魂神も祭神として祀られています。

境内の見どころ

境内には1961年に再建された本殿や拝殿、社務所、その他の神社が点在しています。中でも薬師社には、念仏寺の本尊であった薬師如来が祀られ、信仰の対象となっています。また、境内には多くの合祀社や歴史的な文化財もあります。

重要文化財と祭事

開口神社は数々の重要文化財を有しており、堺市指定の有形文化財として古文書が残されています。毎年行われる祭事には、元旦祭やとんど祭、初午祭などがあり、地域の人々にとって大切なイベントとなっています。

交通アクセス

開口神社は、阪堺電気軌道の大小路停留場と宿院停留場の近くに位置しており、アクセスも良好です。周辺にはその他の歴史的な神社や商店街もあり、訪問者にとって魅力的なスポットとなっています。

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