開善寺 (飯田市)

開善寺（かいぜんじ）

開善寺は、長野県飯田市上川路に位置する臨済宗妙心寺派の寺院です。山号を畳秀山と称し、本尊には聖観音菩薩を祀っています。この寺は、その長い歴史の中で、地域の信仰と文化の中心として重要な役割を果たしてきました。

歴史

開善寺の創建は鎌倉時代に遡ると伝えられています。寺伝によれば、伊賀良荘に入部した四条頼基によって創建されたとされています。その後、建武2年（1335年）には、小笠原貞宗が清拙正澄を開山として迎え、寺を中興しました。さらに、暦応元年（1338年）には足利尊氏の御教書によって諸山に列せられ、応永34年（1427年）には天与清啓の尽力により、室町幕府から十刹の一つに数えられるようになりました。

しかし、室町時代後半になると寺は衰退し、明応8年（1499年）には火災によって堂宇が焼失するという災難に見舞われました。それでも、天文18年（1549年）には松尾城主であった小笠原信貴によって復興され、この時に現在の妙心寺派に転派しました。慶長6年（1601年）には、徳川家康配下の伊那郡代官であった朝日受永から、朱印地35石が寄進されるなど、江戸時代に入っても寺は保護を受けました。

現在の本堂や経蔵などの主要な建物は江戸時代に建立されたものですが、重要文化財に指定されている山門は室町時代の建築様式を今に伝える貴重な遺構です。また、かつて寺にあった梵鐘は戦国時代に持ち去られ、現在は伊那市高遠町の桂泉寺に所蔵されています。

文化財

開善寺には、以下の重要な文化財が所蔵されています。

重要文化財（国指定）

山門：室町時代に建立されたもので、元々は三間楼門（柱間が3間の2階建ての門）でしたが、現在は単層切妻造となっています。その歴史的価値が認められ、1954年に重要文化財に指定されました。
絹本著色八相涅槃図：仏陀の入滅を描いた仏画で、その繊細な描写と色彩が評価されています。
画文帯四仏四獣鏡：飯田市御猿堂古墳から出土した鏡で、古代の文化を知る上で貴重な資料です。

その他

開善寺は、その歴史的な価値と文化的な貢献から、多くの人々に敬意を払われています。また、その美しい景観は、訪れる人々に安らぎを与えています。

参考文献

『信州の文化シリーズ 寺と神社』1981年 信濃毎日新聞社
『探訪 信州の古寺 禅宗』1996年 郷土出版社

外部リンク

開善寺 - 芳香園

関連項目

開善寺 (勝山市): 江戸時代に小笠原氏が移封先で創設した寺院。
光徳寺 ([[長野県南木曽町)]]: 天正11年(1583年)、開善寺の性天が五間四方の薬師堂を建てて隠居寺としたことに始まるという。
* 十刹

開善寺は、その歴史と文化を今に伝える貴重な寺院であり、訪れる人々に深い感銘を与え続けています。

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