間光興

間光興：赤穂浪士の知られざる物語

間光興（はざまみつおき）は、江戸時代前期に活躍した赤穂藩士であり、赤穂浪士四十七士の一人として知られています。延宝6年（1678年）に播磨国赤穂藩士の間光延の長男として誕生し、十次郎または重次郎という通称で呼ばれていました。弟に間光風を有していました。

浅野内匠頭事件と討ち入り

元禄14年（1701年）、主君浅野長矩が吉良義央に刃傷に及んだ事件により、赤穂藩は改易となりました。当時、光興はまだ部屋住みの身分でしたが、仇討ちを決意した円山会議の後、江戸へ下向し、「杣荘十次郎」と名乗り潜伏生活を送ります。

元禄15年（1703年）12月15日、ついに吉良邸への討ち入りが行われました。光興は父や弟と共に参加し、表門隊の隊列に加わりました。大高忠雄と共に邸内へ一番乗りを果たし、近松行重らと共に奮戦。炭小屋の探索中に、光興が最初の一撃を加え、武林隆重が吉良義央を討ち取りました。その後、光興は吉良の首をはねたと言われています。

討ち入り後、浪士たちは浅野長矩の墓所である芝泉岳寺へ行き、一番槍をつけた光興が最初に焼香を行いました。その後、光興らは三河岡崎藩水野忠之の預かりとなり、厳しい監視下での生活を強いられました。岡崎藩の記録には、光興らに対する冷淡な扱いが記されており、寝具の増量も拒否されていたことがわかります。

切腹と最期

元禄16年（1703年）2月4日、幕命により光興は切腹しました。享年26歳。戒名は刃澤藏劔信士です。

人物像と武芸

光興は武林隆重と親交が深く、討ち入りにおいても協力関係にあったと言われています。また、光興は間家伝来の天流剣術を父から、起倒流柔術を平野頼建から学びました。さらに、江戸で著名な剣客であった堀内正春の道場で堀部武庸や奥田重盛らと共に堀内流剣術を学び、高弟として認められていました。槍術も水沼久太夫に師事するなど、高い武芸の腕前を持っていました。

遺品と創作

光興の遺品として、「渡辺半右衛門宛書簡抄」が残っています。この書簡には、江戸での潜伏生活の様子が記されています。また、彼の所有していた脇差「吉光二尺」は、泉岳寺の住職によって売却されたため、現存しません。

忠臣蔵を題材とした創作作品では、光興の妻や息子が登場することがありますが、史実では光興は独身でした。赤穂義士が切腹前に提出した『親類書』にも「妻子なし」と記されています。創作作品における光興の描写は、史実とは異なる点が多いことに注意が必要です。

まとめ

間光興は、赤穂浪士四十七士の中でも、討ち入りにおいて重要な役割を果たした人物です。優れた武芸の腕前を持ち、義に厚い人物であったことがうかがえます。彼の生涯は、忠臣蔵の歴史を理解する上で重要な要素となっています。彼に関する史料や創作作品を比較検討することで、より深く間光興という人物像を理解することができるでしょう。

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