閻若璩

閻若璩の生涯と業績

閻若璩（えん じゃくきょ、1636年11月1日 - 1704年7月9日）は、中国清代初期に活躍した考証学者です。彼の字は百詩であり、号は潜邱と称されます。名の由来は三国時代に活躍した魏の応璩にまつわるとのことです。

幼少期と教育

彼の家族は太原府出身ですが、彼の高祖父である閻翰が淮安府山陽県に移り住んでから、家系はその地で続いています。曾祖父の閻国順、祖父の閻世科は万暦年間の進士で参議となり、若璩が文人として成長することを期待し、彼を励ましていました。父親の閻修齢も詩人であり、文学的な影響が深く根付いていた環境で育ちました。

閻若璩は6歳から書を読み始めましたが、理解力が乏しく、しばしば病気にかかりがちでした。そんな彼を見かねた母親は、記憶力を鍛えるために声を出して読むことをやめさせ、集中力を持たせるために厳しい教育方針を取りました。15歳になった冬、彼は厳しい寒さの中で読書を続け、ある日突然に知識が定着し始めます。このことが彼の学問の道を開くきっかけとなりました。

学問の道へ

1662年、若璩は北京に出て、龔鼎孳と出会い、彼の学識が広く認識されるようになりました。1662年から1678年までの間、北京にとどまり、多くの学者と交流を深める中で著名な業績を残しています。特に注目すべきは、顧炎武の『日知録』を改訂したり、汪琬の『五服攷異』の誤りを訂正したことです。また、徐乾学が皇帝の命令で編纂した『大清一統志』にも関与しました。

1703年の12月、皇四子である胤禛（後の雍正帝）からの招聘を受け、翌年3月に再び北京に上京し、その地で69歳の生涯を終えました。

主な著作と学問的貢献

閻若璩の学問生活において、最も重要な業績の一つは『尚書古文疏証』です。この作品は、尚書古文に含まれる25篇の偽書を証明するために30年以上をかけて成立させたもので、彼の生涯の集大成とも言えるものです。

また、彼のもう一つの中心的な著作は『四書釈地』であり、ここでは四書の中の地理的考証が展開されています。さらに、『孟子生卒年月考』や『潜邱箚記』なども彼の重要な著作として名を知られています。特に後者は、顧炎武の『日知録』と比較されるほどの評価を受けています。

彼は朱熹の学説を尊重しつつも、漢儒の方法論による理解を主張し、顧炎武や黄宗羲の博識を模範としていました。規模や構想では彼らに及びませんが、学問に対する細やかな探求が評価され、清代の考証学の先駆者の一人とみなされています。

参考文献

* 張穆『閻若璩年譜』（北京中華書局、1994年）ISBN 7-101-01093-8

閻若璩の生涯は、彼の学問の追求とそれに伴う多くの功績によって、後の考証学に大きな影響を与えました。彼の取り組む姿勢と成果は、今なお多くの学者に影響を与え続けています。

もう一度検索