阪口美奈子

阪口 美奈子（さかぐち みなこ、1937年6月1日 - 2016年5月30日）は、東京都牛込区に生まれ、日本の女優、声優として活動しました。坂口 美奈子という表記も用いられました。

学校法人雙葉学園に在学していた頃、劇場で観賞した映画『ローマの休日』でオードリー・ヘプバーンの演技に強く心を動かされ、女優の道を志すようになります。学園卒業後、その思いを胸に劇団民藝に入団しました。

1950年代後半から舞台に立ち始め、その才能を開花させます。劇団民藝においては、やがて看板女優の一人として認められ、数多くの舞台で重要な役を務めました。舞台での確固たる実績を背景に、活動の場はテレビドラマにも広がり、多様な役柄を演じました。また、声優としても活躍し、外国映画やドラマの吹き替えでも印象的な声を聞かせました。特に、自らが女優を志すきっかけとなったオードリー・ヘプバーンの主演作『パリの恋人』で彼女の日本語吹き替えを担当したことは、本人にとって思い出深い仕事であったと語っています。

テレビドラマで演じた役柄は、彼女自身の明るい人柄とは対照的に、自殺や失恋など、心に傷を抱えた暗い役が多かったとされます。そこには、演技者としての深みと幅広さがあったと言えるでしょう。私生活では、俳優であり声優の前田昌明と結ばれ、娘の前田新奈は舞踏家・振付師として活動しています。

順調なキャリアを重ねる中で、出産後の舞台で腰を痛めたことが影響し、30代後半からは以前に比べて活動のペースを控えめにした時期もありました。しかし、その後も精力的に活動を続け、多くの人々に感動を与えました。

2016年5月30日、78年の生涯を閉じました。長年にわたり、舞台、テレビ、そして声の世界で忘れられない足跡を残した女優です。

主な出演作品

テレビドラマ

おかあさん（KR・CBC）
落葉の唄（1958年）
薔薇ものがたり（1959年、CX）
ここに人あり「バラを愛す」（1959年、NHK）
広島に生きる（1959年、NHK）
再会（1959年、KR）
呼鈴（1960年、NTV）
これが真実だ「会津娘子軍」（1960年、CX）
雨の庭（1961年、ABC）
口笛が冬の空に……（1961年、NHK）
東京の川風（1961年、NHK）
人命救助法（1961年、NHK）
市民の皆さん お宅はすきだらけです（1961年、NHK）- 妻
しあわせ（1961年、NHK）
宗方姉妹（1954年、TBS）
ちちははの記（1961年、NHK）
指名手配「その紙幣を追え」（1961年、NHK）
残るは、ただ灰……（1962年、NHK）
北国物語（1962年、TBS）
純愛シリーズ（TBS）
銃声（1962年）
てんとう虫だまし（1963年）
インスタント都市（1962年、NHK）
判決（NET）
真実の価値（1963年）
けだもの（1963年）
若い波（1965年）
誕生日（1966年）
日本の悲劇（1962年）
オッペケペ（1963年、NHK）
嫁ぐ日まで 第13回（1963年、CX）
夕焼け雲（1963年、TBS）
利休切腹（1963年、NHK）
いのちみじかけれど（1963年、CX）
三匹の侍 第16回（1963年、CX）
美濃の石楠花（1963年）
疵だらけのお秋（1963年、NHK）
山本富士子アワー「夜の傾斜」（1964年、CX）
夫の骨（1964年、TBS）
散華（1964年、TBS）
三匹の侍 2 第12回（1964年、CX）
加茂のおさ音（1964年、CX）
なんでもない自叙伝（1965年、NHK）
ゲンとイズミ（1965年、NHK）
人形佐七捕物帳 第17回（1965年、NHK）
新しい女（1965年、NHK）
クリスマスには何をうたう（1965年）
七人の刑事（TBS）
きらいな虫（1965年）
されど暁に…（1966年）
三日間（1968年）
海より深き（1965年、RKB）
事件記者 第267話「黒い春」（1966年、NHK）
拝啓一億さま（1966年、CX）- 語り手
路傍の石（1966年、NHK） - 吾一の母
記念樹（1966年、TBS） - きよ子
香代子の場合（1966年、NHK）
七つの愛の物語「海猫は鳴かない」（1967年、NTV）
絆（1967年、NHK）
振袖御殿（1970年、CX）- 御台所
柳橋物語（1970年、CX）
いのちの歌（1970年、CBC）
夫婦学校 第13回（1971年、NTV）
ありがとう 第2シリーズ 第4回（1972年、TBS） - 保の母親
原生花園 アンラコロの歌（1972年、TBS）
赤ひげ 第42回（1972年、NHK）
加那子という女（1973年、NTV）
快刀乱麻 第16回（1974年、ABC）
太陽にほえろ! 第139回「墓穴を掘る」（1975年、NTV）
花神（1977年、NHK）
幸福（1980年、TBS） - 英子

映画

実いまだ青し（1959年）
祈るひと（1959年）- 村上理津子
堂堂たる人生（1961年）- 美代ちゃん
煙の王様（1963年）- 今西克子
ヒロシマの証人（1968年）- 石原せつ
私が棄てた女（1969年）- 清水由起子
君は海を見たか（1971年）- 木宮佳子

吹き替え

映画

青い珊瑚礁（エメリン〈ジーン・シモンズ〉）
ある結婚の風景（マリアンヌ〈リヴ・ウルマン〉）
喝采（ジョージー〈グレース・ケリー〉）
危険がいっぱい（バーバラ〈ローラ・オルブライト〉）
個人教授（フレデリク〈ナタリー・ドロン〉）※日本テレビ版
サン・セバスチャンの攻防（キニータ〈アンジャネット・カマー〉）※フジテレビ版
女優志願（エヴァ〈スーザン・ストラスバーグ〉）
パリの恋人（ジョー〈オードリー・ヘプバーン〉）※東京12ch版

ドラマ

刑事コロンボ 悪の温室（キャシー〈サンドラ・スミス〉）
ホロコースト/戦争と家族（インガ〈メリル・ストリープ〉）
ミス・マープル パディントン発４時50分 （エマ）※追加録音部分は斎藤恵理が担当。

朗読

銀河鉄道の夜（1977年、NHK）

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