阿倍粳蟲

阿倍 粳蟲（あべ の ぬかむし）

阿倍粳蟲は奈良時代に生きた貴族であり、その職業的なキャリアと家系は当時の日本における重要なものでした。姓は安倍、名は粳虫または糠虫、さらには糠蟲とも記されています。彼の官位は従五位上および図書頭であり、平城・嵯峨両天皇の曾祖父でもあります。

出自について

系図によると、阿倍粳蟲は参議・阿倍嶋麻呂の子供であるとされていますが、彼が従五位下の位に就いた年が嶋麻呂よりも早かったため、親子関係には疑問がもたれています。別の説によれば、阿倍粳蟲は中納言・阿倍広庭の弟、もしくは息子であるという見解もあります。

経歴

彼の官歴は神亀3年（726年）に従五位下に叙爵されたのが始まりです。さらに、聖武天皇の時代には、天平3年（731年）には図書頭、天平5年（733年）には縫殿頭に任命され、最終的に天平7年（735年）には従五位上に昇進しました。中務大輔を務めたとの記録もありますが、詳細な時期は不明です。彼の昇進は、能力と功績の証であり、当時の貴族社会でも高い評価を受けていたことが伺えます。

官歴の詳細

以下は、阿倍粳蟲の官歴です（出典は『続日本紀』による）：

• - 正六位上：時期不詳
• - 従五位下：神亀3年（726年）正月21日
• - 図書頭：天平3年（731年）6月13日
• - 縫殿頭：天平5年（733年）12月27日
• - 従五位上：天平7年（735年）4月23日
• - 中務大輔：時期不詳

家族と子孫

阿倍粳蟲の父は阿倍嶋麻呂または阿倍広庭であり、その母については不詳です。彼の子供には男子の阿倍道守と女子の阿倍古美奈がいます。阿倍古美奈は藤原良継の妻であり、皇后藤原乙牟漏の母でもあります。

道守については『公卿補任』には記載はありませんが、家伝によれば陰陽頭と従四位を任じられたとも伝えられています。道守の系統には畿内観察使・兄雄、主殿頭・男笠、弟雄の名があり、その後代には有名な陰陽師である安倍晴明の系統も存在します。道守の子孫にあたる男笠の娘は藤原冬嗣に嫁ぎ、宇多天皇、醍醐天皇、一条天皇と続く系統が形成されました。

さらに、道守の曾孫である藤原良門は、藤原北家を代表する一族として知られ、紫式部をはじめとする著名な人物を多く輩出しています。彼の系譜は、日本の歴史において重要な役割を果たしてきたことは間違いありません。

このように、阿倍粳蟲の経歴と子孫は、奈良時代の貴族社会やその後の日本の歴史に深く影響を与えたものであり、現代においてもその影響は色濃く残っています。

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