阿倍野駅
大阪府大阪市阿倍野区阿倍野筋に位置する阿倍野駅は、現在、大阪市高速電気軌道（Osaka Metro）の谷町線と、阪堺電気軌道の上町線が乗り入れています。地域の交通結節点として機能しており、周辺には様々な公共施設や商業施設が集積しています。本稿では、これら現在の駅に加え、かつて存在した南海電気鉄道の駅についても解説します。
Osaka Metro谷町線の阿倍野駅（駅番号：T28）は地下に設けられており、島式ホーム1面2線の構造を持っています。特徴的なのは、ホーム階がシールド工法で建設されたため、壁面が湾曲している点です。ホーム中央部はシールドトンネルの形状がそのまま残り、端部で二つのトンネルが接続されています。
駅の改札口は北側と南側の二箇所にあります。北改札はあべの橋駅や天王寺駅方面へのアクセスが便利な1号出入口に、南改札はあべのベルタ方面に通じる3号から7号出入口に直結しています。また、あべのキューズタウンへ続く連絡地下道（2号出入口）も利用可能です。
谷町線阿倍野駅は、かつての南海電気鉄道平野線の代替として開業しました。路線の特徴として、八尾南方面へ向かう線路は、南海平野線の廃線跡地を利用した阪神高速14号松原線と一体で建設されたため、この駅から南東へ大きくカーブしています。一方、大日方面へは阿倍野筋、谷町筋を北上します。
利用状況を見ると、2024年11月12日の1日乗降人員は18,706人で、谷町線内では中位に位置します。近年、あべのハルカスの全面開業以降、乗降人員が増加傾向にあります。乗車人員が降車人員を一貫して上回る傾向が見られます。
阪堺電気軌道の上町線阿倍野停留場（駅番号：HN02）は、併用軌道区間の途中に設けられています。ホームは千鳥式配置の2面2線となっており、朝のラッシュ時には利用客の整理のため係員が配置されます。2016年12月3日までは相対式ホームの安全地帯が設置されていましたが、新軌道への切り替えにより現在の形態となりました。
現在の停留場は上町線単独ですが、南海電気鉄道時代の1980年までは平野線と上町線がこの付近で交差しており、天王寺駅前停留場と平野停留場を直通する電車のために渡り線が存在しました。また、かつては現在の地下鉄阿倍野駅北出入口付近に常盤通駅があり、当停留場と松虫停留場の間には1970年頃まで中道駅が存在していました。
1980年に廃止された南海電気鉄道平野線の阿倍野駅は、阿倍野交差点の南東角に位置していました。現在の大阪市道の一部となっていますが、当時は阿倍野交差点東側の大阪市道は片側一車線であり、その南側は平野線の専用軌道となっており、駅も専用軌道上にありました。
また、平野線の阿倍野駅は、1929年に上町線との直通運転が開始される以前は、交差点西側、現在の阿倍野図書館や阿倍野区民センターがある付近の併用軌道区間にありました。この場所にはかつて阿倍野斎場（火葬場）があった歴史的背景から、上町線の阿倍野駅と区別するため、廃止されるまで「斎場前」という副称が付けられていました。阿倍野交差点の名称も、かつては「斎場前」でした。
阿倍野駅周辺には、あべのベルタやあべのキューズタウンといった大型商業施設をはじめ、大阪市立阿倍野市民学習センター、阿倍野区民センター、阿倍野図書館などの公共施設が集まっています。また、大阪市立常盤小学校や大谷中学校・高等学校といった教育機関、関西みらい銀行や日本政策金融公庫などの金融機関も立地しています。近鉄の大阪阿部野橋駅へも比較的近く、徒歩圏内です。地下鉄谷町線と阪堺電気軌道上町線の乗り換えにおいては、天王寺駅ではなくこの阿倍野駅を利用する方が便利な場合が多いです。
最寄りのバス停留所は「阿倍野筋四丁目」で、大阪シティバスの各系統が乗り入れています。
1929年から1980年にかけて存在した上町線と平野線の連絡線の一部として使用されていた架線柱が、現在も阿倍野交差点北東角に残されています。南西方向を向いたトラス構造のこの鉄柱は、平野線直通運転の歴史を今に伝える貴重な遺構の一つです。また、旧平野線の一部区間であった阿倍野交差点から西側、阪堺線今船停留場付近までの区間にも、平野線時代の架線柱が残り、現在は阪堺線と上町線を結ぶ送電線の支持に使われています。
Osaka Metro 谷町線：天王寺駅 (T27) - 阿倍野駅 (T28) - 文の里駅 (T29)
阪堺電気軌道 上町線：天王寺駅前停留場 (HN01) - 阿倍野停留場 (HN02) - 松虫停留場 (HN03)
（かつて存在した南海電気鉄道 平野線：飛田停留場 - 阿倍野駅 - 苗代田停留場）
Osaka Metro 谷町線 阿倍野駅
Osaka Metro谷町線の阿倍野駅（駅番号：T28）は地下に設けられており、島式ホーム1面2線の構造を持っています。特徴的なのは、ホーム階がシールド工法で建設されたため、壁面が湾曲している点です。ホーム中央部はシールドトンネルの形状がそのまま残り、端部で二つのトンネルが接続されています。
駅の改札口は北側と南側の二箇所にあります。北改札はあべの橋駅や天王寺駅方面へのアクセスが便利な1号出入口に、南改札はあべのベルタ方面に通じる3号から7号出入口に直結しています。また、あべのキューズタウンへ続く連絡地下道（2号出入口）も利用可能です。
谷町線阿倍野駅は、かつての南海電気鉄道平野線の代替として開業しました。路線の特徴として、八尾南方面へ向かう線路は、南海平野線の廃線跡地を利用した阪神高速14号松原線と一体で建設されたため、この駅から南東へ大きくカーブしています。一方、大日方面へは阿倍野筋、谷町筋を北上します。
利用状況を見ると、2024年11月12日の1日乗降人員は18,706人で、谷町線内では中位に位置します。近年、あべのハルカスの全面開業以降、乗降人員が増加傾向にあります。乗車人員が降車人員を一貫して上回る傾向が見られます。
阪堺電気軌道 上町線 阿倍野停留場
阪堺電気軌道の上町線阿倍野停留場（駅番号：HN02）は、併用軌道区間の途中に設けられています。ホームは千鳥式配置の2面2線となっており、朝のラッシュ時には利用客の整理のため係員が配置されます。2016年12月3日までは相対式ホームの安全地帯が設置されていましたが、新軌道への切り替えにより現在の形態となりました。
現在の停留場は上町線単独ですが、南海電気鉄道時代の1980年までは平野線と上町線がこの付近で交差しており、天王寺駅前停留場と平野停留場を直通する電車のために渡り線が存在しました。また、かつては現在の地下鉄阿倍野駅北出入口付近に常盤通駅があり、当停留場と松虫停留場の間には1970年頃まで中道駅が存在していました。
南海電気鉄道 平野線 阿倍野駅（廃止）
1980年に廃止された南海電気鉄道平野線の阿倍野駅は、阿倍野交差点の南東角に位置していました。現在の大阪市道の一部となっていますが、当時は阿倍野交差点東側の大阪市道は片側一車線であり、その南側は平野線の専用軌道となっており、駅も専用軌道上にありました。
また、平野線の阿倍野駅は、1929年に上町線との直通運転が開始される以前は、交差点西側、現在の阿倍野図書館や阿倍野区民センターがある付近の併用軌道区間にありました。この場所にはかつて阿倍野斎場（火葬場）があった歴史的背景から、上町線の阿倍野駅と区別するため、廃止されるまで「斎場前」という副称が付けられていました。阿倍野交差点の名称も、かつては「斎場前」でした。
駅周辺
阿倍野駅周辺には、あべのベルタやあべのキューズタウンといった大型商業施設をはじめ、大阪市立阿倍野市民学習センター、阿倍野区民センター、阿倍野図書館などの公共施設が集まっています。また、大阪市立常盤小学校や大谷中学校・高等学校といった教育機関、関西みらい銀行や日本政策金融公庫などの金融機関も立地しています。近鉄の大阪阿部野橋駅へも比較的近く、徒歩圏内です。地下鉄谷町線と阪堺電気軌道上町線の乗り換えにおいては、天王寺駅ではなくこの阿倍野駅を利用する方が便利な場合が多いです。
最寄りのバス停留所は「阿倍野筋四丁目」で、大阪シティバスの各系統が乗り入れています。
歴史を偲ばせる遺構
1929年から1980年にかけて存在した上町線と平野線の連絡線の一部として使用されていた架線柱が、現在も阿倍野交差点北東角に残されています。南西方向を向いたトラス構造のこの鉄柱は、平野線直通運転の歴史を今に伝える貴重な遺構の一つです。また、旧平野線の一部区間であった阿倍野交差点から西側、阪堺線今船停留場付近までの区間にも、平野線時代の架線柱が残り、現在は阪堺線と上町線を結ぶ送電線の支持に使われています。
隣の駅
Osaka Metro 谷町線：天王寺駅 (T27) - 阿倍野駅 (T28) - 文の里駅 (T29)
阪堺電気軌道 上町線：天王寺駅前停留場 (HN01) - 阿倍野停留場 (HN02) - 松虫停留場 (HN03)
（かつて存在した南海電気鉄道 平野線：飛田停留場 - 阿倍野駅 - 苗代田停留場）
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