阿史那默啜

阿史那默啜（アシナ・モクセツ）

阿史那默啜（? - 716年）は、東突厥第二可汗国時代の可汗であり、阿史那骨咄禄の弟です。オルホン碑文ではカプガン・カガンとして記録されています。

生涯

690年頃、兄の阿史那骨咄禄が亡くなると、子の默棘連が幼かったため、阿史那默啜が可汗位を簒奪して自ら即位しました。

対周（武周）との関係

693年、霊州を襲撃。武則天が討伐軍を派遣するも遭遇できず。その後、阿史那默啜は周に来朝し、武則天から左衛大将軍、帰国公に封じられ、多くの贈り物を授かりました。
694年、再び請和を申し出たため、武則天は遷善可汗を授けました。
696年、契丹討伐で功績を挙げ、武則天から特進・頡跌伊施大単于・立功報国可汗に冊立されました。
698年、武則天に求婚を申し込むも、当初拒否されたため激怒。司賓卿の田帰道を殺害しようとしました。周側は東突厥の勢力を恐れ、姚璹らの建議により和親を許可し、要求を呑みました。しかし、武則天が周の皇族を嫁がせようとしたことに阿史那默啜は反発。武周政権を倒して唐王朝に戻そうと南下し、静難軍使の慕容玄崱を降伏させるなど、各地で周軍を破りました。武則天は激怒し、阿史那默啜を斬啜と改名させましたが、東突厥軍の勢いは止まらず、武則天は唐の李顕を皇太子としました。これを聞いた阿史那默啜は軍を引きました。
699年、弟の阿史那咄悉匐を左廂察、甥の阿史那默矩を右廂察に任命。子の阿史那匐倶を小可汗とし、西突厥の兵馬を統括させました。以降、東突厥は連年辺境を侵略しました。
700年、隴右の馬を略奪。武則天は魏元忠を派遣して備えさせましたが、東突厥軍はすでに退却していました。
703年、皇太子の息子との縁組を申し込むと、武則天はこれを受け入れました。

唐の復活後

705年、武則天が譲位し、李顕が中宗として即位すると、唐が復活しました。
706年、霊州鳴沙県を襲撃し、官軍を破りました。さらに原州・会州などに侵攻し、隴右の馬を略奪しました。
707年、中宗は阿史那默啜との婚姻を拒否し、彼を討った者に国王の位を与えるとしました。
708年、西突厥の突騎施娑葛が反乱を起こしました。
710年、睿宗が即位すると、711年に阿史那默啜は再び和親を申し入れ、宋王李成器の娘を娶ることを許されました。

晩年と最期

714年、子の移涅可汗らが北庭都護府を包囲するも、郭虔瓘に敗れました。その後、部下の離反が相次ぎ、715年には十姓部落や阿史徳胡禄らが唐に帰順しました。同年秋、九姓鉄勒との戦いで勝利するも、716年、抜曳固部との戦いで警戒を怠った隙を突かれ、脱走兵の頡質略に討たれました。その後、阿史那骨咄禄の子の闕特勤が旧部をまとめ、阿史那默啜の子や弟を殺害し、兄の阿史那默棘連を毘伽可汗としました。

妻子

可賀敦（皇后）
金山公主（宋王李成器の娘）
子
阿史那匐倶（拓西可汗）
移涅可汗
楊我支特勤
* 同娥特勤

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