阿智神社
阿智神社は、
長野県下伊那郡阿智村に位置する神社で、その歴史は非常に古いとされています。式内社であり、旧
社格は郷社です。
祭神
阿智神社の主祭神は以下の二柱です。
天八意思兼命(あめのやごころおもいかねのみこと)
天表春命(あめのうわはるのみこと)
相殿には、以下の神々が祀られています。
誉田別命(ほんだわけのみこと)
建御名方命(たけみなかたのみこと)
大山咋命(おおやまくいのみこと)
境内には前宮と奥宮があり、特に奥宮には古代祭祀の遺跡とされる磐座が存在します。
歴史
社伝によれば、孝元天皇5年(紀元前200年頃)の春正月に、天八意思兼命が御子神を従えて信濃国に天降り、阿智の祝部の祖となったと伝えられています。この祭祀は、その子孫である原氏によって代々受け継がれてきました。
阿智神社が鎮座する場所は、古代の東山道沿いにあたり、昼神という地名には日本武尊の東征にまつわる伝承があります。日本武尊が神坂峠を越えようとした際、荒ぶる神の毒気に阻まれたが、蒜を吹きかけたところ、悪神が退散したという話から、この地を蒜噛(ひるかみ)と呼ぶようになり、後に昼神(ひるがみ)と呼ばれるようになったと伝えられています。
また、思兼命は高天原随一の知恵の神として、天照大神が天岩戸に隠れた際、その御神慮を促し、太陽神を再び世に出した功績があるとされています。このことから、思兼命を祀るこの地は、暗から昼へと導いた功績を称え、昼神と呼ばれるようになったという説もあります。
奥宮は、前宮から阿知川を2キロほど遡った場所に位置し、本谷川と黒川が合流して阿知川となる地点の、半島状に突き出た場所にあります。この場所は川合陵と呼ばれ、丘の上には苔むした巨石が祀られています。国学院大学教授の大場磐雄は、この巨石を磐座と認定し、古代の祭祀遺跡であるとしました。この巨石は自然のままの菱形に近い形状をしていますが、その出っ張りが東西南北を指しており、冬至の時期には東の延長線上に太陽が昇るとされています。
上水内郡戸隠村にある戸隠神社中社(祭神:天八意思兼命)と宝光社(祭神:天表春命)は、村上天皇の時代に徳武氏が阿智神社から分祀したと伝えられています。また、一時期、山王権現社と呼ばれていたことも朱印状から確認できます。
さらに、埼玉県秩父神社の御祭神である天下春命は、天表春命の弟神であり、知々夫国造の祖とされています。
『斎部氏家牒』によると、天手力男命は阿智の祝の遠祖であるとされています。
現地情報
所在地
前宮:
長野県下伊那郡阿智村智里489
奥宮:長野県下伊那郡阿智村智里497
交通アクセス
園原インターチェンジから車で約10分です。
周辺
昼神温泉
園原
参考文献
『智里村誌』 智里村青年会編、1934年
『下伊那史4巻』 下伊那史編纂会、1961年
『
長野県の地名』 日本歴史地名大系20、平凡社、1975年
『阿智村誌』阿智村誌編集委員会、1984年
『
日本書紀』
『古事記』
『ホツマツタエ』
『先代旧事本紀』
関連項目
大御食神社
地主神社
安布知神社(
阿智村内にあり、同じく天八意思兼命を祭神とする。
新羅明神も祀る)
外部リンク
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阿智神社 - 長野県神社庁