秩父神社

秩父神社は、埼玉県秩父市に位置する、歴史と文化が深く根付いた神社です。武蔵国四宮として古くから知られ、秩父地方の総鎮守として地域の人々に崇敬されています。この神社は、12月の例祭「秩父夜祭」で特に有名で、その祭りはユネスコ無形文化遺産にも登録されています。三峯神社、宝登山神社と共に秩父三社の一社として数えられ、多くの人々が訪れます。

概要

秩父神社の始まりは、崇神天皇の時代に初代知知夫国造である知知夫彦命が、祖神の八意思兼命を祀ったことに遡ると伝えられています。この地は荒川の河岸段丘上に広がる秩父市街地の中心に位置し、神社の歴史と地域の発展が深く結びついていることがうかがえます。

中世には妙見信仰と習合し、「秩父大宮妙見宮」として栄えました。江戸時代には徳川家康の命により現在の社殿が建てられ、その社殿には左甚五郎作と伝えられる彫刻が数多く施されています。これらの彫刻は、子宝や子育ての虎、つなぎの龍など、見どころ満載です。特に12月に行われる例祭「秩父夜祭」は、京都の祇園祭、飛騨の高山祭とともに日本三大曳山祭および日本三大美祭に数えられ、多くの観光客が訪れる人気の祭りです。

祭神

現在の秩父神社の祭神は、以下の4柱です。

八意思兼命（やごころおもいかねのみこと）：知恵の神様として知られています。
知知夫彦命（ちちぶひこのみこと）：八意思兼命の十世孫で、初代知々夫国造です。
天之御中主神（あめのみなかぬしのかみ）：鎌倉時代に合祀されました。
秩父宮雍仁親王：昭和天皇の弟で、昭和28年に合祀されました。

元々の祭神は八意思兼命と知知夫彦命ですが、他にも諸説があります。また、天之御中主神は明治の神仏分離の際に改められたもので、それ以前は妙見菩薩でした。

歴史

創建

秩父神社の社殿と参道の南側延長線上には、武甲山があり、元々は武甲山を神奈備として遥拝する聖地でした。八意思金命の十世孫の知知夫彦命が、崇神天皇の時代に初代知知夫国造に任命され、祖神である八意思兼命を祀ったことが神社の創建とされています。

古代から近世

律令制度の崩壊とともに秩父神社は一時衰退しましたが、その後、平良文によって妙見社が勧請され、鎌倉時代に秩父神社に合祀されました。これにより、神仏習合が進み「妙見宮」として栄えるようになりました。江戸時代には、徳川家康によって社殿が再建され、現在の姿となりました。

近代以降

明治時代の神仏分離により、祭神が天之御中主神に改められ、社名も「秩父神社」に戻されました。しかし、現在でも頒布されている護符などには妙見信仰が残っています。また、1884年の秩父事件では、困民党軍が境内に集結しました。

2006年には、「全国一の宮会」から「知知夫国新一の宮」に認定されています。

境内

境内には、本殿、幣殿、拝殿をはじめ、神門、神楽殿、儀式殿など、多くの建物が配置されています。社殿は徳川家康によって造営されたもので、左甚五郎作と伝えられる彫刻が施されています。また、境内の社叢は柞乃杜（ははそのもり）と呼ばれ、自然豊かな空間が広がっています。

摂末社

天神地祇社：全国の一宮やそれに準ずる神社の祭神が祀られています。
東照宮：徳川家康を祀る神社です。
天満天神宮：菅原道真公を祀る神社です。
枉津日社
柞稲荷神社
日御碕宮：境内の日御崎神社を祀る神社です。

祭事

御田植祭（4月4日）
秩父川瀬祭（7月19・20日）：境内社の日御崎神社の祭りで、祇園祭が秩父に入ってきたものです。
番場町諏訪神社祭礼（9月27日）：数年に一度、御柱を曳く祭礼が行われます。
例祭（秩父夜祭）（12月1日-6日）：日本三大曳山祭の一つで、ユネスコ無形文化遺産に登録されています。

文化財

秩父神社には、数多くの文化財が所蔵されています。

重要無形民俗文化財：秩父祭の屋台行事と神楽
選択無形民俗文化財：秩父神社神楽
埼玉県指定文化財：社殿、秩父神社文書、秩父神社御田植祭
秩父市指定文化財：刀剣脇差、秩父神社大祭御旅所、秩父祭笠鉾・屋台旧部品、妙見塚、川瀬祭笠鉾・屋台
ユネスコ無形文化遺産：秩父祭の屋台行事と神楽

現地情報

所在地

埼玉県秩父市番場町1-1

交通アクセス

秩父鉄道秩父本線秩父駅（徒歩3分）
西武鉄道西武秩父線西武秩父駅（徒歩15分）

周辺

秩父三十四箇所 - 札所13番-16番が近隣に所在。
秩父まつり会館

関係地

国神の大イチョウ（秩父郡皆野町国神） - 知知父彦命（知知夫彦命に同じ）の墓跡と伝わる。
岩本山常泉寺（秩父三十四箇所札所3番） - 観音堂は神仏分離時に秩父神社の薬師堂を移設したもの。
十輪寺（小鹿野町） - 神仏分離時に蔵福寺の観音堂にあった十一面観音を譲り受けた。

秩父神社は、歴史と文化が深く根付いた、訪れる価値のある神社です。ぜひ一度、その魅力を体験してみてください。

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