阿野実為

阿野実為（あの さねため）

阿野実為は、南北朝時代に活躍した公卿です。権大納言・阿野季継の子として生まれ、官位は従一位・内大臣（南朝）にまで昇りました。祖父・阿野公廉の女・廉子（新待賢門院）が後醍醐天皇の寵妃であったという縁から、阿野家は代々南朝方の公卿として重きをなしました。

経歴

具体的な官歴は明らかになっていない部分もありますが、記録からその足跡を辿ることができます。正平6年/観応2年（1351年）頃には右近衛少将、正平13年/延文3年（1358年）5月には蔵人頭左中弁兼右近衛権中将を務めていたことから、程なくして参議として公卿に列したと考えられます。正平20年/貞治4年（1365年）には権中納言、天授元年/永和元年（1375年）には権大納言に任じられ、天授3年/永和3年（1377年）7月以前には大納言に転じ、弘和元年/永徳元年（1381年）には前大納言となっています。

後亀山天皇からの信任は厚く、内大臣に昇進。元中6年/康応元年（1389年）6月には既に散位となっていました。元中9年/明徳3年（1392年）の南北朝合一の際には、吉田宗房と共に幕府との交渉役を担い、閏10月には天皇に付き従って吉野から京都へと入りました。南北朝合一後は落飾して匡円と号し、嵯峨大覚寺に入った後亀山上皇（法皇）に近侍しました。応永5年（1398年）から同7年（1400年）の間に薨去したと推測されています。

歌人としての一面

阿野実為は、南朝歌壇においても重要な役割を果たしました。正平8年（1353年）の『内裏千首』をはじめ、『内裏三百六十首歌』や『五百番歌合』など、数々の歌会に歌を詠進しています。また、嘉喜門院の依頼を受けてその家集である『嘉喜門院集』を清書するなど、文化的な活動にも貢献しました。『新葉和歌集』には、彼の歌が11首収録されています。

系譜

父：阿野季継
母：不詳
妻：不詳
男子：阿野公為
* 女子：不詳

阿野実為は、激動の南北朝時代において、公卿として、また歌人として、その足跡を историиに刻んだ人物です。

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